水上摩理

先輩×後輩の密かなる恋バナ

「――七瀬ななせ先輩っ!」

「あの、ちょっとだけお時間よろしいでしょうか?」


「およ、どしたのマリー?」

「可愛い後輩のためなら時間くらいいくらでもよろしいぞ~!」


「あ、ありがとうございます!」

「実はその、七瀬先輩に折り入って相談が……」

「私服の選び方を、アドバイスしていただきたくて!」


「マリーとお買い物! え、めっちゃいいじゃん! 付き合う付き合う!」

「でも、なんでウチ?」


「七瀬先輩は読者モデルとしてもご活躍されていましたし、何より制服の時も私服の時も着こなしが可愛くて……」

「憧れなんです、私の!」


「こ、これが圧倒的後輩力の塊・水上摩理みなかみまり……! 眩しい! 胸の前で〝ぎゅっ〟てしてる拳も超可愛い~!」

「マリーのお姉ちゃんがホネヌキになるのも無理ないかも……」

「なでなで」


「わ、わわっ……」

「その、あのぅ……きょ、恐縮きょうしゅくですっ!」


「反応まで可愛いなぁ、もう」

「ちなみにマリー、どういう服が欲しいの? 具体的なシチュエーションっていうか」


「シチュエーション……えっと、たとえば」

「〝気になる先輩と一緒にお出掛けする時〟……でしょうか?」


「ほう」


「ぁう……」


「うんうん、なーるほどね」

「事情は分かったけど、シノは学園島アカデミーでもトップクラスに競争率高いよ~?」


「そ、そういうわけじゃ……!」


「え、違うの?」

「じゃあ、まさか――進司しんじを!?」


「横取りしたりしませんから!」

「……私だって、篠原しのはら先輩が大人気だいにんきなことくらい知っています」

「ただ……」


「ただ?」


「何もせずに諦めるのは、違うかなと!」

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