味見係のジレンマ
「
「味見をお願いしたいのだけど」
――7ツ星の専属メイド・
我が家のキッチンにて、桃色のエプロンを身に着けた
「……またかよ」
嘆息交じりに応答する俺。
〝
試食を頼まれたのはこれで7回目。
最初はダイニングにいたものの、今や往復の手間を
「いいじゃない、別に」
むっとした顔で腰に手を遣る彩園寺。意思の強い
「マズいものを食べさせてるわけじゃないんだから」
「ユキには勝てないかもしれないけど……料理、別にニガテじゃないし」
「まあな」
ニガテどころか、最近はかなり腕を上げているように思う。
そんなことを考えながら、俺は彩園寺から差し出された小皿を受け取った。
小皿に口を付けてこくんと喉を鳴らす。
「うん、美味い」
「さっきよりもっと良くなった……っていうか、もう文句の付けどころがないかもな」
「そう?」
「ふふん、ならいいわ」
得意げに頷く彩園寺。
そんな彼女を見て、思わず口を挟んでしまう。
「でも、いいのかよ?」
「さっきから俺ばっかり味見してる気がするけど……」
「?」
「あんたのために作ってるんだから、あんたの好みに合わなきゃ意味ないじゃない」
「っ……」
「ま、まあ、それはそうかもしれないけど……」
当たり前のように言い放つ彩園寺だが、だからこそ不意打ちの如くドキッと心臓が跳ねてしまう。
「でも……そうね、確かに」
そんな俺の前で、エプロン姿の彩園寺が不意にこくりと頷いた。右手のおたまで左手の小皿に肉じゃがの汁を
「……ん」
「ちゃんと美味しくできたかも」
「篠原が味オンチってわけじゃなさそうで安心したわ」
「そんな心配してたのかよ」
「ったく……っていうか、あれ?」
彩園寺が持っている小皿は俺がついさっき味見に使ったものだ。
「な、なあ、彩園寺?」
「その小皿……もしかして、間接――」
「!?!?!?!??!?!??!」
「な、な、な……何してくれてんのよ、バカ篠原ぁっ!!!」
かぁっと首筋まで真っ赤にする彩園寺。
手の甲を唇に当てつつ
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