第三狐 転生先での衝撃

 意識が芽生える。ここは、どこだろう。目が開かない。身体に浮遊感がある。


(…………ッ?!)


 突然、痛みが全身を走る。それは、頭部とお尻に。


(痛い!)


 声を出したい、でも口が開かない。

また、痛みが走る。何かが出てくる。なにかが消える。


「つい……! やり…………た!」


「そこまで……だ! …………」


「なんだ! …………は?!」


 なにかが聞こえる。なんだろうか。


 ピキッ


 何かが割れる音。先程とは違う痛み。身体前方に倒れこんだような感覚。やっと身体が動く。身体を起こして目を開ける。そこは、何かの研究所。目の前では、剣を持った男、大柄な身体のおっさん。いかにも、魔法を使いそうな格好の少女に漫画でいう僧侶と言われる格好をする女性。そんな四人が科学者だと思われるおっさんを捕縛していた。


「くそっ! もう少しでわしの最高傑作が出来上がるところだったのにのに。」


 科学者がもがきながら叫ぶ。いったいなんだこの光景は。そう思い込んでいると、剣を持った男がこちらに気づき近づいてきた。


「大丈夫かい? お嬢さん」


「あっ、はい」


 とりあえず、返事を返した。


「バイソン。この子を担いでくれるか」


「了解」


 バイソンと呼ばれた大柄なおっさんが返事をして、私を担ぎ上げた。その時、黒い"尻尾"のようなものがあることに気付いた。私は自分のお尻を見る。そこにあったのは、先程みた、黒い狐のような尻尾だった。まさかと思い、側面の耳から頭にかけて手を触れる。あったはずの耳がない。そして頭の上にはぴょこぴょこと動くものがある。焦りを持つ私に一つの散り散りとなった紙が確信を持たせることになる。


 人体獣化実験計画書

 被◯体 レ◯・◯◯◯シ◯

 獣化◯◯ル 狐


「ええぇぇぇぇ!」


 どうやら私はおっさんの人体実験によってケモミミになってしまったようです。

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