第八狐 冒険者の始まりと寝泊まり
どのくらい戦っているのだろうか。私とガロンの戦いはお互いを削っていき、闘技場はボロボロ。今ではお互い息をきらし始めていた。
「次で……終わらせる」
「やってみろ……」
体力的にもそろそろやばい。だから次の一撃で終わらせないと負けるだろう。一か八か私は、頭の中で考えた技を出した。
「火炎【炎帝無限牢獄】」
ガロンの周りを、戦いの始まりに出した【炎帝】が覆い始める。それは‘‘牢獄’’のように……。
「大丈夫……。死なないように加減を考えておくから」
私は挙げた手を下に振り落とす。すると、一つ一つの【炎帝】がガロンに全弾直撃する。その数は百……、二百……と増えていった。無限に起こる爆発。威力は桁違いもものであった。
数分後、気付いたときには牢獄は消え、ガロンは気絶をして倒れていた。勝利を確信し、酒坏の心の四人に手をふる。四人は口を開いたまんまで、受付嬢に関しては放心状態となっていた。
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数分後、受付嬢は正常に戻り、カウンターに戻ってきた。
「こちら、ギルドカードです」
ギルドカードが渡される。カードには、大きく『G』と表記されている。
「ギルドカードに職業を登録しますけど、職業はどうしますか?」
職業……。確かにステータスでは未登録だったな。職業が剣士とか魔法使いなら……。
「『魔法剣士』にします」
「魔法剣士ですね。改めておめでとうございます。レナさんはこれから冒険者です」
やったね! 冒険者になったよ!
「それでは、冒険者ギルドについて簡単に説明します。冒険者はランク分けされていて、S〜Gランクまであり、依頼を達成していくと、ランクが上がります。しかし、長期間依頼を受けていなかったり、連続で依頼を達成できなかったら、ランクは下がります。依頼は掲示板から受けることができます。それでは、頑張って下さい」
長い説明お疲れ様です。これから、冒険者ライフが始まると思うとワクワクが止まらない。私は内心はしゃいでいた。
「レナ」
後ろから私を呼ぶ声。その正体はヘルズ達だった。
「ヘルズさん。どうしました?」
「まずは試験合格おめでとう。それとこっちが本題だが、レナは寝るとこはどうする?」
「あっ……」
泊まる場所。それは、生きる上で大切なことだが冒険者のことで頭がいっぱいになっていた。といっても、今の私は無一文だからどこにも泊まることができないや。
「やっぱ、考えていなかったか……。といってもレナは今無一文だし、ずっと俺等と一緒だったからな……。だから今回は俺等と同じ宿に予約を入れてやる」
「えっ……。いいんですか?」
「一人増えたところ問題ないし、試験でいいもの見せて貰ったからな」
ヘルズからの申し出は、無一文の私にはとても嬉しかった。私はヘルズ達に感謝をして、一緒にヘルズ達の宿に向かった。
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