第三十六狐 日香とレナの成長

「先生?」


 午前10時の庭にて、白いコートの先生と呼ばれる男と妹のマナ、そして私が立っていた。


「マナ。こちらの人は?」


 あまりマナには聞きたくないけど、話が進まないだろうので、嫌そうな思いをしながら妹に聞く。


「この人は、私の魔法の使い方を教えて下さる宮廷魔術師にして、ローズ伯爵家のグレリア・ローズ様よ!」


 自慢気の顔をする妹に苛立ちを持ちつつ、グレリア様の方を向く。


「ご挨拶が遅れました。グライシス男爵家の長女にして、マナの姉。レナ・グライシスです」


「これはこれは。4年前に行方不明になったグライシス家の姉の落ちこぼれ令嬢ですか……」


 腹が立ちますね……。でも、相手は階級が男爵家より上の伯爵家だから、無暗に刃向かえない。

 それに、言っていることも正しいといえば正しい。だって、私は魔法が全く使えなかったから……。


「おや、だんまりということは落ちこぼれであることを認めるのですね」


 どうやら、私が考えていた間無言だったために肯定と見たらしいです。


「【ファイアバレット】」


 いい加減、腹がたった私は奴に目掛けて魔法を打ち込む。炎の弾丸は、グレリアの頬を掠めて、血がポタポタと流れ始めた。


「は?」


 グレリアが自分の頬に触れ、動揺する。そして瞬く間に顔を赤くして怒りとなった。


「貴様?! 私になんてことをする!」


 その顔は、ゆでタコよりも赤くなっていて、思わず吹きそうになった。


(あはははははは!)


 頭の中で日香さんの笑い声。どうやら先程の一連の流れを見ていたらしい。


(いいよ! いいよ! やったれ! やったれ!)


 ちょっと、外野の人がうるさいです。でも、いいお仕置きになったと思います。


「なん……で……」


 私はグレリアを視界から外して、マナの方へ目を向ける。


「なんで……、なんで姉様が火の魔法をつかえるのよ!?」


「はぁ、なんでって言われても冒険しているうちにできるようになっただけだし……」


 私は、また目を未だ赤い顔をしたグレリアに向け、反応を待つ。


「マナ様、ちょっとこちらに……」


 そう言われ、マナはどうしたのだろうという顔でグレリアの近くにより、こそこそ話を始めた。


「姉様、私と決闘しませんこと?」


「(は?)」


 私達は、マナの一言に驚愕の声を上げるのだった。



―――――――――――――――――

あとがき18

最近投稿時間が遅れてすいません。

謝罪と共に報告としてしばらく投稿が不定期になります。いつも獣化転生を読んで頂いている皆様にはもうしわけありません。

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