第四十五狐 燃え上がる怒り


「【天神・日面双嵐星】」


 恐怖を感じながらも、あの姉の姿をした何かに天神・日面双嵐星を放つ。


「《消えろ……》」


 七色の光線を前にして、彼女が手をこちらに向けて伸ばす。


「えっ……」


 信じられない光景を私は目にした。それは……、




 神格奥義による攻撃が消滅したことである。


「ま、まだよ! 【天神・日面双嵐星】!」


 再度、七色の光を放つ光線を放つが、先程と同じ様に彼女の手によって、消えてしまった。


「うるさいなぁ……、少し黙ってくれないかなぁ……」


「ッ……」


 彼女の声にとんでもない圧を感じる。あいつに反抗して声を荒げようとしても最初の一声すらも発せられない。


「《吹っ飛べ……》」


 その一声で私の前に強風が吹き始める。剣を地面に突き立てて、飛ばされないようにするが、ズルズルと後ろに下げられる。


「……ッ! 【テレポート】!」


 私は大量の魔力を使って、彼女の後ろをとり、双剣を瞬時に振るう。


ザシュッ!


 彼女は私の剣に右手を刺して、こちらの動きを止めて私の腕を左手で掴んだ。彼女の顔は無表情であったが、怒りの感情が分かる程に魔力はが溢れ出していた。


 少女は、腕から血を流していても声を挙げずに、こちらを見て口を開いた。私は瞬間的に死を感じた。それは、彼女の先程見せた3回使用した力に共通点が一つ。それは対象に触れていることである。1、2回目は魔法に触れて使い、先程の強風は空気に触れたのだと考える。それが本当なら、条件は満たされ発動できる状態に今はある。彼女が使いそうな言葉はきっと……。


 《死ね》か《消えろ》だろう。


 死にたくない。でも、テレポートで残りの大半を使ってしまった。大した魔法も打てない。天神・日面双嵐星もあと一回が限度だろう。双剣は、片方がテレポート前に地面に刺したまんまだ。もう一本は彼女の腕にある。もう……だめかな……。


「《消え……」


 終わりの時だ。私は諦め、目を閉じた。












 何故、なぜ何も起きない? 私はふと前に顔を向けた。そこには、倒れた姉の姿があった。


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