第四十六狐 リミットオーバー

時は絶命・滅殺領域発動していた時に戻る。


レナ(日香)視点


「《神格奥義【絶命・滅殺領域】》」


 私は、レナの為に意地でも勝ちたい。レナを殺した様なものである眼の前の少女。マナ・グライシスを全力をもって潰す。でも、やったことのない魔法だ。これまでと大きく違うところがあるだろう。でも、頭の中でどう使うかを分かっているような感じがする。


「【天神・日面双嵐星】」


 どうやらクズが光線を出したっぽい。私は本能のままに手をかざす。


「《消えろ……》」


 すると、私の前から魔法が消滅する。


「ま、まだよ! 【天神・日面双嵐星】」


 またしても、光線。私は先程と同じ様に、言葉を発す。


「《消えろ……》」


 魔力の塊は無に還す。眼の前のマナは焦りを見せるが、その動作がうざったらしかった。


「うるさいなぁ……、少し黙ってくれないかなぁ……」


 私の声に少女の動きが一瞬固まる。私はそれを見逃さない。


「《吹っ飛べ……》」


 風に触れる。より深く思考を巡らせ、イメージを固める。強い風、台風、それを小さく圧縮したものに。


 吹き荒れるステージの上でマナは剣を地面に突き立てて、気合で吹き飛ばされない様にしている。決して油断はしない。


「……ッ! 【テレポート】!」


 一本の剣を残して、姿が消える。でも、それは無駄なことだと私は思う。殺気が抑え込められていない。


ザシュッ!


 私は彼女の決死の一撃をわざと右手で受けた。剣を刺された腕からドバドバと血が流れる。痛くないわけではないが、耐えられないわけではない。左手で動きの止まった彼女の腕を掴む。マナ・グライシスは恐怖に染まった顔で目を閉じた。


「《消え……》ッ!?」


 うまく声を発せない。それどころか息苦しくなる。たった一言を発するだけなのに、それができない。一秒一秒が長く感じる。頭が痛い。私は彼女の存在を消してやりたいのに、私の中にいたあの人はそれを否定して、あいつを守ろうとしている。


ドタッ……


 身体がいうことを効かなくなり、倒れる。激しい頭痛で意識が朦朧としてくる。私は、’’また‘‘何もできないまま終わったのか……。


 私の意識は遥か深くへと沈んでいった。


―――――――――――――――――

あとがき20

お久しぶりです。時間のだいぶ空いた投稿でしたがこの作品、『獣化転生』を読んで頂きありがとうございます。最近この作品を書いていて、ファンタジーって難しいなと思いました。なので多分五十狐くらいかな、その辺りで一時完結にしようと思います。ですが、また様々な発想など思いついてきたら投稿再開をしようと思います。

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獣化転生 〜身体は人体実験でケモミミになりました〜 暗雲 @Kurakum0_ST

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