第十三狐 私の武器

「お前は何度やったら気が済む!」


 今、絶賛メルスがヘルズに説教中。いや、絶賛はしてないけど。私とバイソン、アリサ、レーナは、横で説教が終わるのを待っていた。

 十数分が経ったころ、心がボロボロになったヘルズはようやく開放された。説教を聞いたところだと、ヘルズは依頼で拾った子を連れて来ては、ここに連れて来て、武器をメルスに見繕わせてたらしい。なら、しょうがないよね。助けるのもいいけど、ほどほどにね。


「さて、待たせて悪かったな。で? ヘルズから聞いたけど、狐の嬢ちゃんの名はレナだったか、欲しい武器はなんだ?」


 私の欲しい武器。それは、前世のことを思い出してから決めていたものがある。それは……、


「刀はありますか?」


 そう言われ、メルスは倉庫から幾つかの刀を持って来た。私は一本一本と見ていく。刃は舐めなかでメルスの腕が良いのが分かる。だけど欲しいものが見つからない。私は最後の一本で見つけた。刃は黎く染まり、側面に桜の文様が浮かび上がっている。


「これを下さい」


「それか、よく見つけたな。その刀の名前は『黎桜』といって、数年前に打った私の最高傑作なんだが、色のせいで誰も手に取ろうとしない」


「それに決まったのか? それじゃ、メルス、お代は……」


 ヘルズが話しているのをメルスが止める。


「いいよ。レナがそれを手にとってくれただけでも嬉しいんだ。だからそれはやるさ。次来たときは払ってくれよ?」


「ありがとうございます!」


 私はメルスにお礼を言うと、後ろから肩を掴まれた。後ろを見るとアリサとレーナがいた。二人は微笑んでいるように見えるけれど、私にはその微笑む顔が怖かった。


「こっちの方は終わったし、失礼しま〜す!」


「ぎゃぁぁぁ!」


 またしても、私は強制連行されてしまった。一体次はどこに連行されるのだろう。


「面白いなあいつ」


「そうだろ? でも、レナは多分俺等より強い。」


「まじか⁉ それは楽しみだ! ハッハッハッハッ」


 もう遠くに見える、メルスとヘルズ、バイソンの姿は楽しく雑談をしているようだった。私もあそこに混ざりたいなぁ……。

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