第三十ニ狐 姉妹の想い
あれから、歩いて20分。屋敷の場所は覚えているので、スタスタと歩いていく。
「久しぶりですね……」
門を前に足を止める。私は門番の騎士に、ギルドカードと指定依頼書を見せてて中に入る。流石に私の姿が面影があるといえど前とだいぶ変わっているため、騎士には私であることが分からなかったようだった。
「レナちゃ〜〜ん」
正面から私を抱こうとする緑色の髪の女性を避ける。この女性は私のお母様、アミル・グライシスだ。
「あらあら、避けちゃて。もしかして久しぶりで恥ずかしいのかしら? それにしても、可愛くなったわね〜」
「ふにゅぅぅ〜」
お母様がモフモフになった私の頭を撫でる。もっと小さなときに撫でられた感触よりも気持ちよく、とろけるような感じだ。尻尾は勢いよく振っていて、自分としてはこの身体にまだ違和感があった。
「誰よ!? その獣は!?」
お母様の後ろから白色に薄い様々な色をもつ髪の少女の声。その声の正体は、私のたった一人の妹にして、私を騙した張本人こと、マナ・グライシスだった。
「あらあら、マナ。お姉ちゃんにそんなこと言わないの」
「えっ?!」
マナは驚愕の声を上げて、一瞬顔が青くなったのが見えた。それは死んだと思っていた私が生きて帰って来たことか。それとも、私の姿に対してのことなのか。そんなことは正直どうでも良かった。私は、動揺を隠せない妹と一緒にお母様に連れられ、家の中へ入って行くのだった。
「私は…、貴女に決着をつけます」
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マナ視点
「どうしてよ?! どうしてここにレナ姉様がいるのよ?!」
私は、グライシス家の次女のマナ・グライシス。生まれて今まで周りから、7属性使える魔法の天才とか、姉より優れた妹。様々なことを囁かれ、私は思うようになった。
‘‘私に姉はいらない’’と……。
そう考えた私は、4年半前に準備を進めた。城下町で盗賊を雇い、姉を誘拐させ、その上で処理については、研究者と繋ぎ、準備から半年。つまり、4年前に私の前から姉が姿を消した。その後は、学校で青春を送って、婚約者も出来た。そんないい方向に進む私の人生にあいつがまた出てきた。
「私の道を塞がせはしない……。私は……、あいつ。レナ・グライシスを追い出す!」
グライシス姉妹は、それぞれの思いから、行動に移すのだった。
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あとがき16
前回は本当にすみません。
今回は新しい登場人物が現れたので紹介していきます。
マナ・グライシス
葉山日香の現在の姿。レナ・グライシスの妹。魔法の適正が高く使える魔法属性は7つ、このことから世間では七色の天才少女とも呼ばれている。
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