第二十六狐 冒険者再開と思いきや

 数日後。魔力熱から復活しました。初日のときにヘルズが呆れ気味に何か言っていたけどよく覚えていない。まあ、忘れるぐらいのことだから大丈夫だろう。


「おはようございます!」


 ギルドに入って元気に挨拶。治った後も、酒坏の心のみんなにもう少し休めと言われてもう数日休んで、ギルドへ結局数十日ぶりだからね。テンションハイですよ。カウンターに向かって歩く途中、他の冒険者の声が耳に入る。


「あいつか?」


「ああ、あいつであってる」


「あの獣人がSランク2人相手に互角の戦いをしていたのか」


 ん? Sランク? 私、そんな人達と戦ったっけ? もしかして……。私はそうであってほしくないと思いながら、エリーナさんのいるカウンターに向かう。


「レナちゃん、ちょっといいかしら」


「あっ、はい。なんですか?」


「話したいことが2つあるけど、1つは特例でレナちゃんがEランクから4段飛びでBランクに上げさせてもらうことになったわ」


 はい?


「理由だけど、この前に決闘していた相手がユースタシア王国での数あるSランク冒険者でその2人に互角以上の戦いをしたことが王都に伝わって、議論の結果でBランクになったわ。私としてはAランクとかSランクでもいいのに……」


 いやよくないよ? なんで4段飛ばしするの。まだ、前みたいに2段飛ばしならこっちも妥協するよ? しかも、相手が2人ともSランクだ? こっちも悪いけど自己紹介ぐらいしろよ。


「それで、もう1つだけど、Bランク冒険者になってから発生するのだけど。早速、指定依頼でレナちゃんが指定されたわ」


 ……。


「依頼内容は王都での活動で詳しく書かれていなくて……。だから王都にひとまず向かって欲しいの」


 …………。


「エリーナさんや、レナはまだ子供なんだ。馬車で1人旅も不安になるだろう」


 いやそういう話じゃない。というかいつの間にヘルズさん来たの。


「ちょうど俺達も王都に向かいたいと思っていたんだ。だから、俺達酒坏の心が護衛も兼ねて、王都までの世話をする」


 あの、一緒に来てくれるのは嬉しいけど、あと一週間分の宿があるから行きたくないのですけど。


「まぁ、そうゆうことだから準備して行くぞー」


「ちょっ……、待っ……」


 そのまま私は、頭の整理がつかずに、ヘルズに裾を掴まれズルズルと引きずられて言った。


「大丈夫かしら……」


 そこに1人の受付嬢の言葉が溢れた。


―――――――――――――――――

あとがき11

メルス

 リフレシアに住む武器鍛冶士。武器の完成度は高く、高ランク冒険者が常連とする店の店主。ヘルズとは6年前に会っている。世話好きな性格ではあるがヘルズが次々と人を連れてくるから最近は忙しい。

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