第二十一狐 面倒事はよく身近で起こるよね

 食堂に入店した私は開いている席に座る。建物は木造で落ち着きをもたせた内装をしていた。店内は冒険者が多く、昼から酒を飲む人もいるみたいだ。


「すいません。サクレの煮物を下さい」


 私は私で頼みたいものをメニューから選び、店員に注文する。どうやらこの世界のものと私のいた世界のものの見た目が同じでも、名前は違うらしい。サクレは私の世界でいう鯖になります。


「おいっ! てめぇは許さねえぞ!」


「上等だ!」


 異世界のこういうところって、面倒な事がよく起こるよね。男2人が喧嘩をしあって、周りはそれを見世物として見るように楽しんでいる。客の人達には、楽しみになるかもしれないが、店側にとって問題になる前に解決したほうがいいだろう。そういうことなので、料理が来る前に私は喧嘩を止めに行った。


「「邪魔すんな!」」


 わーお。凄い気迫。まぁ、そんなもので止まるつもりはもうとうないですけど。


「喧嘩中に失礼。ここでやりあうと、店に迷惑がかかり、あなたがたが損をするだけです。なのでこれ以降は外でやってください」


「そうだな……。確かに迷惑になるところだったな……」


 おや? 案外聞き分けがいい。


「アドバイスしてくれたお礼の変わりなんだが、俺達と戦ってくれないか?」


「は?」


 思わず驚愕の反応。なんでなのかな、なんでお礼という名の決闘しないといけないのかな。


「俺達の気迫に怖じけず、立ち向かった。そのことに関心してな。それなら貴女の力量は、凄まじいものだと思ってな」


 何を勘違いしているのかな? まだEランクでしかないし、私は迷惑にならないように注意しただけの人でしかないのに、それだけで判断するのかなぁ。


「やるにしても、ご飯を食べた後でいいですか?」


「分かった。貴女が飯を食べたらな」


 あっ、やべ。言い方間違えた。そうして私はなくなく、男2人と戦うことになった。ちなみにサクレの煮物は美味しかったです。これから常連になろうかなと思う程でした。ごちそうさまです。



―――――――――――――――――

あとがき6

アーナ

 『酒坏の心』に所属する神官。白髪の大人しそうな姿の神官とは思えない張っちゃっけぶりを普段からしている。噂では、料理が好きだと言うがヘルズ達は、アーナが料理するときに苦い顔をしているようだ。

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