第二十四狐 風邪は風を巻き起こす
「んぐ……」
目を覚ます。場所は恐らく私が借りている宿。今日は身体全体にだるい。そして、昨日何があったを思い出そうとしても考えがまとまらない。
「しっぽ……モフモフ……」
考えることを止め、自分の尻尾に抱きつく。リフレシアに向かうときの馬車以降はあまり触れることはなかったが、腕が尻尾に沈み込むくらいのモフモフがあった。
「モフモフはやはり正義です」
「何言ってるんだ。レナ」
「ん〜、おはよ〜ヘル
バチッ
いつの間にかいたヘルズにデコピンをもろに食らう。
「痛い……」
「レナが心配かけさせるからだ。聞いたぞ、Sランク2人相手していたって」
あっ、そうそう。昨日は昼ご飯の後に男2人と戦ったっけ、そんで2人相手してて、1人やったけど、倒れたんだった。もしかしてヘルズがここまで運んでくれたのかな……。
「そうだったね〜」
「おい、ちょっとでこ触らせてもらうぞ」
ヘルズが手のひらで私のおでこに触れる。少しひんやりしてて気持ちいい。
「熱いな、多分魔力熱だろう。昨日は無茶し過ぎだ」
魔力熱? 分かんないや。でも、今わかることがある。とっても眠い。
「おやすみ〜」
「あっ、ちょ待て。お……! ……ナ!」
目を瞑り、眠りにつく。ヘルズが何か言っていた気がしたが眠気に勝つことが私には出来なかった。
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ヘルズ視点
話の途中で眠ったレナを見つめる。さっき話してたときのレナの様子は自分が餓鬼だったときの光景に似ている。それはそうだろう。まだレナの年齢は14か15歳ぐらいでまだ子供なのだ。この国での成人は18歳と言われているが、こいつはここ俺達が拾う前からいつからか分からないくらいの時間が1人だったのだ。
「だったら……、俺達がレナが成人するまで、保護者として要られたらな……」
ありもしないだろう独り言を呟く。
「そうね。私よりもこの子はもう強い。けど、まだ心は子供なのよ」
「アリサ……」
後ろから話しかけてくるアリサ。アリサは俺と同じ気持ちだったのかもな。
「それに、アーナはいいとして、バイソンだってレナちゃんに気を使っていたでしょ? 今までいろんな子を見てきたけど、こんなことはなかった気がするの」
今までは生きることを諦めかけていた奴ばっかりだった。でも、レナは、レナ・グライシスは最初に出会ってからずっと、生きることに希望が見えていたような目だった。だからその目から俺達は離せなかった。レナがどんな奴になるか気になって仕方ないのだ。
「さて、レナちゃんが風邪ひいてるわけだから、看病しますか」
レナを見て思う。レナの親はどんな人なのだろうかと。
―――――――――――――――――
あとがき9
エリーナ
リフレシアの冒険者ギルドの職員。
いつも笑顔で冒険者を迎える受付嬢で、基本的に会計から依頼受注、魔物の買い取りなどほぼ全ての雑務ができ、他の職員からも慕われている。最近は新しく冒険者になったレナのことで夢中ではある。
追記
夏休みが終わっちまったぜ。すみませんが、暫く週一投稿になりそうです。ごめんなさい。m(_ _;)m
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