第十狐 初めての依頼
冒険者ギルドについた後、私は受ける依頼を探す為に掲示板の前にいる。Gランクの私が受けられる依頼は、街のお手伝いの雑務、薬草採取、ゴブリンの討伐だった。そこで私は安全性を考えて薬草採取の依頼の紙を持ってカウンターに移動し昨日の受付嬢のエリーナさんに紙を渡す。するとエリーナさんからとんでもない提案をされた。
「レナさんには、極力薬草採取ではなく、ゴブリン討伐の依頼を受けて欲しいのです。」
エリーナさんはあろうことかゴブリン討伐の依頼を勧めてきた。そこでエリーナさんは理由を淡々と話す。
「試験のときにレナさんの戦いを見ていたのですが、あそこまでの強さを持つ人はなかなかいません。しかも貴女みたいな若い人がベテランのガロンさんに勝てるほどの人ですよ!私としてはランクを上げて有名になって欲しいのです。それに……」
「分かりました!分かりましたから!」
長くなりそうな語りをしそうなエリーナさんに区切りを付け、諦め顔でゴブリン討伐の依頼に切り替えた。
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依頼を承諾した後、私はゴブリンの生息する森に来た。今の私には武器がないから、魔法と格闘で戦わないといけない。
「来たか……」
優れた耳で複数の足音を聞き取る。森の茂みに現れたのは、緑色の肌を持った人形の魔物、ゴブリンだった。初めて魔物を見た私は、魔物が気持ち悪いと思った。ゴブリンは4体いて、それぞれ、混紡、剣、弓、短剣を持っていた。
「ガガッ?!」
私は、剣持ちのゴブリンに獣人ならではの速度で間合いを詰めて、剣を奪い取り、斬りつける。
「【ファイアバレット】」
その直後、私はそのまま弓使いのゴブリンに炎の弾丸を撃ち込んだ。ゴブリンは頭を突き抜かれ、その場で倒れていった。
「ぐぎゃゃぁ!」
後ろから短剣のゴブリンが切りかかってくる。それを私は躱し、剣に一つの魔法を掛ける。
「【ファイアエンチャント】」
剣に炎が灯る。魔法は成功。私はそのまま炎の灯った剣でゴブリンを切る。
「火炎【焔】」
ゴブリンの首が勢いよく切れ飛ぶ。残り一体のゴブリンは怖いもの知らずで襲い掛かってくる。それを簡単にいなして、トドメを指した。戦場は静かになる。その静けさの中、私は言葉を零した。
「父さん……。ありがとう……」
空を見上げる。そして私は、剣を振るうときに思い出した過去を振り返っていた。
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