第十七狐 ちょっと早くないですか?

 次の日、私は冒険者ギルドに依頼を受ける為に立ち寄ったのだが、エリーナさんから、呼ばれていた。何かあったのだろうかと思うと、エリーナからは、予想の斜め上のことを言ってきた。


「レナ・グライシスさん。おめでとうございます。Eランク冒険者に昇格です。」


「待って下さい。いくらなんでも早すぎませんか? しかもFランクをすっ飛ばしていますし。」


「あぁ、そのことですが、それには理由がありまして。理由としてあげられるのは、二つです。一つは試験のときに見せて貰った実力がそこらの冒険者よりも遥かに強いという点です」


 あぁ、試験のときに戦ったガロンはとても強かった。しかも、聞いたところだと、引退したとはいえ、元Aランク冒険者だったと聞いた。だからこれには私も頷けた。


「そうですか。それではもう一つの理由は……」


「もう一つが昨日のゴブリン討伐の依頼で提出された。ゴブリンの耳の量がGランクで出せる量じゃないからです」


 流石に、ゴブリン100体はそうなったのか。でも、こうして理由もはっきりした上でランクが2つも上がるのは嬉しいな。


「理由を教えて頂きありがとうございます」


 私は、エリーナさんにお礼を言って、ギルドから出ようとしたが、寸前で本当の目的を思い出した。


「新しい依頼を受けに来たんだった。」


「すいません。ランクが上がったことで受けれる様になった、新しい依頼はありますか?」


「受けられるのは、Fランクのゴブリンの小規模の群れの討伐。他に、Eランクのフォレストウルフの討伐依頼があります」


 ゴブリンはこの前沢山倒したからいいかな。だから私が選ぶのは……。


「フォレストウルフの討伐依頼を受けます」


 エリーナさんは、フォレストウルフの情報を伝える。それは、基本的に3〜5体の群れで東にある霧の樹海と呼ばれる場所で活動しているらしい。ウルフといえば獣であるが、私もまた獣。この身体のことは、研究者を辿ればいいのだろうが、そいつはもう処刑済みらしい。だから自分で手がかりを探す必要がある。手がかりにはならなさそうだが、探して見るのも有りだと思った。


「何はともあれ、行きますか!」


 私のことは、ゆっくり調べて行けばいい。春の陽気が漂うリフレシアから私は、霧の樹海へと向かうのだった。



―――――――――――――――――

あとがき2

キャラ紹介

レナ・グライシス

 この作品の主人公。元の名は葉山日香であり、24歳の独身だった。ある日の夜、車に轢かれて死んでしまい、転生をすることになった。本来は黒髪の美少女に憑依転生をするはずだったのだが、その身体は人体実験で狐の耳の尻尾が着いてしまった。前世では剣術一家であった為、剣の扱いに長けている。しかし、暗い過去がありそれは、これからも少しずつ出てきます。

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