第三十八狐 変人から学んでしまったもの

レナ(日香)視点

 私達の試合が始まるまでの間、観客席で試合を見ることにしたのだが……。


「くらえ! 【ハードプラント】【トリックフラワー】」


「うおおお! 【高次元斬】」


 地面から生えてくる巨大な木の根と爆発する花びらを、剣士が目にも止まらぬ速さで切り倒していく。その光景に観客は歓声を上げ、場を盛り上げていっている。


「くそ……、こうなったら奥義使うしかねぇ」


「かかってこい……」


 奥義。それは強い思いに答え、顕現する魔法で世界で1つだけの存在。つまり、その人のみがつかえるオリジナルとなる。他人の奥義を見るのは、初めてである。どんな魔法を使うのかと思ったのだが……


「行くぞ……独木【一本木周辺回回地球回】」


(は?)


 舞台に現れたのは、一本の木。魔法使いはその木の周りを回り始めたと思いきや、2週目になったとき彼の姿が消えた。

 意味の分からない行動と突然の対戦相手の消失に、剣士や会場の観客も、混乱していた。


「独木【一本木周辺回回地球回 2rd】」


 次の瞬間に勝負が決まっていた。


✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼


 あれから、待合室で試合の時間を待ちながら昨日まで、レナと考えていた戦法の振り返りをしていた。


(よし、私達の戦法はどういうものか言える?)


(言えますよ。始めは、火力ではなく手数で勝負します)


 相手は7属性持ちなので、一発一発に火力のある魔法を使っても相殺されるだろうので、私達が使える火、氷、闇の3属性を交互に変えて、ゴリ押しをする。


(それが、上手くいった場合は多分奥義を使うと思うので、それを魔力切れになるまで耐えて、フィニッシュです)


(それで、無理そうだったら私に変わるからね)


 簡単に言っているが、奥義に耐えるのは、先程の意味分からん試合で難しいことがよくわかった。だから、私が出るのは必然だと思っている。


「レナ・グライシス様。決闘の時間になりましたので舞台への移動をお願いします」


 作業員に呼ばれたレナは、舞台へと向かった。


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マナ視点

 手を開いたり、握ったりの動作を繰り返す。


「レナ姉様は、魔法を闇属性以外の属性が使えるようになっていた。でも、やれても低威力だと考えられる」


 腰には、二振りのミスリルの剣。ミスリルは、魔力の流れが良い素材で大量の魔力を持つ私に合う剣だった。


「マナ・グライシス様。決闘の時間になりましたので舞台への移動をお願いします」


「分かりましたわ」


 私はレナ姉様が邪魔です。だから、今日で終わりにします。


○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○


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