第四十狐 辛いのは同じこと
その後、私の身体は外へ出て助けてくれたであろう4人組と馬車で話していた。
『ステータスオープン』
彼女が何かを呟くと、私の手元に透明な板が現れた。
ステータス
Lv4 名:レナ・グライシス
年齢:24歳 職業:OL
称号:孤独の強者
転生を果たす者
スキル
演算能力Lv6 料理Lv4 空間把握Lv11 剣術Lv26 加速Lv7 覚醒LvMAX(封印)
これは、私の中の彼女の力だろうか。色々と凄まじいと思った。もっと見たいと思ったが、消えてしまった。
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あれから彼女。日香さんは冒険者になって、自分より強いであろう相手と戦って、勝っていった。そして、日香さんが戦うたびに、私に憶えのない記憶が流れる。それは、父と自分を鍛え上げるのを楽しんでいる少女の記憶や突然の父の死に嘆き、無意識に剣を振るう記憶。自分を偽っている何処かでの生活の記憶。様々だった。
「私と同じだったのね」
彼女の記憶を見てきて、私は感じた。
彼女も辛かったのだと。
いつも元気なあの人も、私にも全く同じとは言えないが、ずっと夜が続いているような夢を見ていたのだ。
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「両選手の入場です」
舞台に上がる。目線の奥には、たった一人の妹、マナ・グライシスがいた。
「せいぜい足掻いて下さいな」
武器を構える。私は、サクラの絵柄がつく黒刀を、マナは光り輝く長い双剣を。互いに足に力を込める。
「試合……始め!」
掛け声とともに、地面を蹴飛ばした。
「【ファイアバレット×16】」
(【ファイアバレット×32】)
私と日香さんによる手数勝負。無数の弾丸がマナに迫るが、全ての弾を双剣で斬られてしまった。
「【スピード】」
そのままの勢いで、突っ込んで来る。私はスレスレで避けて、即座に距離を取り、魔法を乱発するが先程と同様に全てねじ伏せられる。
「【アイスミスト】」
今度は霧を出して、迂闊に動けないように仕向ける。霧が晴れる前に魔法を出そうとするが、
「【ファイアストーム】」
熱風により霧が晴れてしまい、それどころか場が炎で包まれた。その中でも、マナはへっちゃらであった。
「思いのほか、楽しいじゃないですか。お姉様」
私は、額に汗を浮かべていた。
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