第9眠 作戦
「ゴブリンキングだ!」
ライトさんが小声で教えてくれた。
「ライトさん。あのゴブリンたちの中にぼくたちの村を襲ったやつもいます」
「どれだ?」
「杖を持った奴です。短剣やこん棒を持っている奴はたくさんいますけど杖はアイツだけです」
「あれか。あれはゴブリンメイジだな。普通のゴブリンよりも知能が高くて、魔法が使えるんだ。だから、群れのリーダーをしていたのかもな」
ライトさんがしばらく考え込む。
「よし、状況はわかった。いったん引いて作戦を練ろう」
僕らはこの森の入口とゴブリンたちのいる所の丁度中間あたりで野営することにした。しかしこんなところで野営して大丈夫なのだろうか。
「さて、テントも張れたし最後はこいつを使いますか」
ライトさんが取り出したのは、先に宝石のようなものが付いた棒4本だ。
「これを、適当に4か所にさしておくとその中は結界で守られるんだ。便利だろ?」
「すごい。こんなものもあるんですね」
「結構高いんだけどな。安心感が違うから持ってるんだ」
確かに、結界があればいきなり襲われるということはなさそうだ。
「さあ、飯食いながら作戦を練ろうか」
レイさんが食料を調達してきてくれて、メイさんが調理してくれた。ワイルドボアの鍋だ。ワイルドボアはあまり臭みがなく、思っていたよりおいしかった。
「さて、村の住民の二人に言わなきゃいけないことがあるんだが」
ぼくとソフィアはかたずをのんで次の言葉を待った。
「確実に村の周辺に異変が起きている。あのゴブリンたちのせいだ。ゴブリンはよくいる魔物の一種だが、ゴブリンキングなんてのはなかなか居るもんじゃない。おそらくあれを脅威に感じた一部のワイルドボアが村にきてしまったんだと思っている。だから確実にアイツを倒さなきゃいけないんだが、面倒なのはゴブリンキングではなくて、周りにいる奴らなんだ」
ガモンさんが立ち上がって
「そこでお前たちにはゴブリンたちを何とかしてもらいたいんだ。おれがヘイトを集めている間に少しずつでもいいから減らしていってくれ」
「で、その間に俺とメイとレイで敵の親玉を倒すってわけだ」
「あのー」
ソフィアが心配そうに手を上げた。
「作戦はわかったんですけど、いくらガモンさんがヘイトを集めてくれても弱い私にゴブリンが向かってこないか心配で」
「それも大丈夫。レイが良いポジションを見つけてくれたんだ。レイ、説明してあげて」
「はいっす」
こうして作戦会議を終わらせて、みんな眠りにつき、朝が来た。といっても暗いので朝なのかどうかわからないが、ライトさんが朝だと言っていたので朝なのだろう。
「チェック」
ぼくは、毎朝の日課であるステータスチェックをした。道中魔物は出てきていたので、何体か倒していたのだ。レベルは6に上がっていたのだが獲得経験値のところを見るといつもなら×2と出ていて二倍の経験値が得られていたのだが、今日は×1.2となっていた。これが睡眠の質によって獲得経験値倍率が変わるというやつか。それでもテントで寝られたおかげでこの倍率なのだろう。Aランク冒険者様様だ。僕たちは早々に片づけを終え、昨日のゴブリンたちのところまできた。
「さあみんな、昨日の作戦通りいくぞ」
「了解!」
それぞれ持ち場についた。作戦開始だ!
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