第32眠 王都
王都に入るとまず目に入ってきたのは、遠くに見えるお城とそこに続く長い道だった。そしてその道には脇にいくつものお店が並んでいる。それこそお城までずっとだ。そしてその道の真ん中には水路が通っていて船が行き来している。等間隔に横にも水路が伸びているところがあることからきっとこの水路を使って物を運んでいるのだろう。箸もかけられているところがあり水路を挟んで右側の道と左側の道で行き来できるようにもなっている。橋は船が通れるようにアーチ形になっている。
「うわぁ。すごいね」
ソフィアが感動の声を上げる。
「ほんとだよね。こんなきれいなところがあるなんて。さすが王都だ」
「そうだね。ところで、ライトさんたちはどこにいるの?」
「そうだった。見とれている場合じゃなかった」
ぼくはカバンの中からライトさんにもらった。パーティハウスの住所の書かれた紙を取り出した。
「なるほどね。うんうん」
「わかったの?」
「さっぱりだよ」
ズコーッ!
ソフィアは見事にズッコケた。
「ちょっと。分かったような感じだしてたじゃん!」
「ごめんごめん。実を言うとぼく、ものすごい方向音痴なんだ」
今明かされる事実なのだが、ここに来るのにも通りがかった人たちに助けてもらいながら来たのだ。村から出たときも、うろうろしてたところをアレーゼの町近くまで連れてきてもらったし、アレーゼの町からもゴードンたちに出会う前は馬車に乗せてもらったし、ゴードンたちを追い払った後は城壁が見えるところまで近くを通った親切な冒険者に連れてっ来てもらったのだ。
「よくここまでこれたね」
「会う人たちがみんないい人たちでね。アレックスさんに地図をもらってたんだけど全く読めなかった」
これにはもうソフィアも笑うしかなかった。
「ちょっと見せて」
ソフィアに紙を渡す。
「私もここに来るのは初めてだからわからないけど、えーと。あ、あれだ」
ソフィアはこの都の大まかな地図が掲示板に張られているのを見つけた。
「どうやらここは4つのエリアに分かれているみたいだよ」
「4つのエリア?」
「うん。今私たちがいる所は商業エリア。で、ライトさんたちがいるのは冒険者エリアだね。あと他に工業エリア。これは物を作ったりする人たちがいるのかな。鍛冶屋とか生活用品を作ってたりするみたい。あとは王城エリア。お城と騎士団があるところかな」
「なるほどね。じゃあ冒険者エリアに行けばいいってことだね」
「そうだね。商業エリアはこの城から真っすぐのびているエリアで、冒険者エリアはお城をみて左手側にあるエリア。反対に右手側に行くと工業エリアに行くみたいね」
「ソフィアはすごいなぁ。一緒にきてくれてよかったよ」
「そ、そんなことないよ。これくらいは」
ソフィアは顔を赤くして照れている。
「早速方向が分かったから、そっちに向かって、わからなかったら近くにいる人にこの住所の紙を見せるかライトさんたちの名前を出して聞いてみればたどり着けるはずだよ」
「よし、じゃあソフィアの言うとおりに行きます」
「まかせて!」
こうしてぼくたちは、冒険者エリアへと向かっていったのだった。
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