第4眠 敵襲

 家の扉を開けると、遠くの方で煙が上がっているのが見えた。


「トムくんはここにいなさい」


 そう言うとアレックスさんは家の隣にある物置小屋の中から古びた剣をとって、煙の方向へ走っていった。ここにいなさいと言われたけど、やはりいてもたってもいられず、何か武器になるようなものがないか探した。さっきアレックスさんが剣をとってきた物置小屋に何かあるのではないだろうか。そう思い物置小屋に走る。予想通り

古びた剣が一本立てかけてあった。それを持ち出し煙の方へと走り出す。と同時に危機察知スキルも発動。何やら嫌な気配が5、6体ほどいるようだ。見えてきた。あれはなんだろうか。緑色の肌をしていて小柄な魔物がいる。僕のよくやっていたゲームに近いものがいた。ゴブリンだ。村人たちは必死に戦っている。アレックスさんもその中にいた。人数では村人たちの方が多いが、ゴブリンたちの方が戦い慣れしていて連携もとれているように見える。村人たちは戦いなれておらず、劣勢に見える。


「アレックスさん!」


「トムくん!家で待ってろと言っただろ」


「でも、いてもたってもいられなくて」


 その時、アレックスさんの後ろからゴブリンが一匹襲いかかってきた。


「危ない!」


 とっさにアレックスさんを押しのけて、ゴブリンめがけて剣を振る。


 キィン!


 ゴブリンの持っていたナイフに剣が当たった。ゴブリンは受けきれなかったようで、後ろに吹っ飛んだ。


「大丈夫ですか!」


「ああ、なんとか。それより前を見ろ、来るぞ」


 ゴブリンは体勢を立て直すとまっすぐ向かってきた。すると、避けなきゃいけないという感覚が自分の中にわいてきた。サッと右に避けるとゴブリンは持っていたナイフを投げてきた。避けていなかったら不意を突かれて、ナイフに当たっていたかもしれない。ゴブリンはナイフをよけられたことに驚き、焦っている。その隙を見逃さずゴブリンを剣で切りつけた。


「グギャアアアア」


ゴブリンは痛みに悶え、やがて動かなくなった。僕が、やったのか。自分のやったことが信じられなかった。しかし、やらなければやられていたのだ。僕もアレックスさんも。


「よくやってくれた。残るは5匹だ」


 まだ5匹もいる。敵は良く統率がとれているしなかなか手強い。よく見ると、一匹だけ少し後ろから指示を出しているゴブリンがいる。あれがリーダーなのだろうか。あいつをやれば打開できるかもしれない。そう思い、気づかれないよう後ろに回り込む。そして一気に近づいて攻撃しようとしたとき、目の前にもう一匹ゴブリンがあらわれた。後ろを警戒させていたのだろうか。そんなことを考える暇もなく敵の攻撃をよける。嫌な感覚のしない方へよけると簡単に攻撃をかわせる。きっと危機察知のスキルのおかげだろう。そしてさっきよりも簡単にゴブリンの隙をついて倒すことができた。よし、いける。この調子でいけば....

顔を上げるとゴブリンが三体向かってきていた。ほかの村人には見向きもせずに。


「トムく――――ん!」


遠くでアレックスさんの声が聞こえる。ああ、おわった....


「バーニング!」


その声と同時にゴブリンたちは


燃えた。

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