第3眠 スキル
「レベル3!?」
レベルが上がらないスキルだったんじゃないのか。不思議に思いながらスキルのところに目をやると、次のように記されていた。
スキル:
眠るまでに経験したことを夢の中でもう一 度体験することによって、多くの経験値が入る。睡眠の質によって、経験値の倍率が変わる。眠らなければ経験値は入らない。
眠らないと経験値が入らないということだったのか。きっと召喚士のおじいさんはここだけ見えたんだろうな。これはもしかして、僕も強くなれるのではないだろうか。もちろんほかの三人のような明らかに強力な能力ではないかもしれないが。僕も夢を見てもいいってことだよな。そうと分かれば寝るまでに、たくさん経験しないと。実は先ほどスキル内容を確認した時に、追加で取得可能なスキルが二つ増えていた。野草鑑定と危機察知だ。どちらも隣にレベル1と記されていたので、何らかの条件でスキルもレベルアップしていくのだろう。レベルが上がった際にスキルポイントがたまっていたので、そのスキルポイントで二つのスキルを取得することにした。野草鑑定は薬草と雑草を分けていた時の経験で、危機察知はワイルドボアが女の子に襲い掛かろうとしていた時の経験だろう。ということは、いろんな経験を積むことによって様々なスキルを得られるはずだ。さっそく起きてリビングに向かう。
「トムくん。大丈夫かい。痛いところはなかったかい」
アレックスさんが心配そうにこちらを見た。
「僕は全然なんともないです。それよりあの女の子は?」
「あの子も大丈夫だと思う。昨日見たときは特にけがはしていなかったしな」
「それは良かったです」
「それにしても、ワイルドボアに対してよく立ち向かえたね」
「いや、もう無我夢中でしたよ。よく出るんですか?」
「いや、この辺にはあまりいないはずなんだがね。近くの町の冒険者ギルドには報告しておいたからしばらくは大丈夫だと思うけどね。とにかくけが人が出なくてよかったよ」
アレックスさんはふうっと一息はいた。
「けがもなかったので働かせてください」
「いいのかい?」
「とにかく今は色々経験したいんです」
「よしそうか。じゃあ、働いてもらっちゃおうかな」
そういってアレックスさんが立ち上がった時、何やらサイレンのような音が聞こえた。
「な、なんですかこの音」
アレックスさんの顔は険しい。
「この音だけは聞きたくなかったな」
「何が起こって....」
「魔物だ」
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