第35眠 準備

 ぼくたちが選んだFランクの依頼はゴブリン三匹の討伐依頼だった。どうやら近くの村にゴブリンが出てきていて困っているらしい。


「まずはしっかり準備していこう。ポーションやそんなに時間はかからないとは思うが、一応野営の準備もしておかなきゃな。お前たちの村の時みたいに万が一のこともあるかもしれないし」


ぼくたちはギルドの近くにあった道具屋に行ってポーションや毒消し草などの回復用品や野営できるような保存食、寝袋などを買った。


「そうだ。あそこにも寄っていこうぜ」


ライトさんが指さしたところには武器屋があった。中に入るとたくさんの武器が飾ってある。


「ソフィアは魔法で使う杖とかは持たないのか?」


「もともと冒険者になろうとは思ってなかったので持ってなかったんです」


「そうか。杖は魔法の威力を高めてくれたり、魔法の出る速さを上げてくれたりするんだ。ソフィアだったら今でも十分威力が出ていると思うし、この短くて振りやすい、魔法の出る速度を上げてくれる杖の方がいいかもな」


そういって、菜箸くらいの長さの杖をソフィアに渡した。札には、ウッドステッキと書かれていた。


「軽くて使いやすそうです」


「うん。じゃあ、おやっさんこれください」


「まいど!」


「そんな、いいんですか?」


「おう、冒険者になった記念だ」


「ありがとうございます」


ソフィアはとてもうれしそうだ。


「それで次は、トムだな」


「え!ぼくもですか」


「当たり前だろ。それにその剣ボロボロだし」


確かに、あの後剣をマルコさんからもらったのだが、エンチャントをしたこともあってかなりボロボロだった。


「エンチャントしたからですね」


「エンチャントできんのかよ。すごいな。なかなか冒険者始めたてでできる奴はいないぞ。それならそのランクの剣じゃ耐えられないわな」


ライトさんは店内を見回してある剣を見つけたようだった。


「これならいけるだろ」


そういって渡された剣についていた札には、鋼の剣と書かれていた。文字通り鋼でできているのだろう。


「すごい。でもこんなに立派なもの....」


「いいんだよ。お前たちが稼ぐようになったら酒でもおごってくれ」


「はい!」「はい!」


ライトさんの期待に応えなきゃ。ぼくとそしてソフィアもきっとそう思っていることだろう。


「よし。じゃあ、ゴブリン討伐に出発だ!」


こうしてぼくたちは冒険者として初めての依頼を達成しに向かったのだった。

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