第36眠 初依頼

 目的の村には1時間ほどで着いた。到着すると早速、この村の村長の所へと向かった。依頼内容の細かい確認をするためだ。


「よくおいでくださいました」


「いえいえ、よろしくお願いします。早速なのですがどういい状況ですか?」


「ええ、つい3日ほど前からゴブリン達による襲撃にあっていまして、数は3匹程なのですが毎日被害にあっています。人を襲うことはもちろんですが、なんと言っても被害が大きいのは、この村の特産品でもあるモーモー達です(牛のような見た目で角がなく、体色は赤だ。肉も美味しいし、ミルクも取れると図鑑に書いてあった)これがやられてしまうと村が立ち行かなくなってしまいます」


「なるほど。ちなみに時間帯は決まっていますか?」


「我々が仕事を切りあげる夕方頃にやってきます」


「分かりました。俺たちに任せてください」


ライトさんがそう言って、村長の家を後にした。


「さて、情報も聞いたことだしお前らに任せるぞ」


「え?」


「当たり前だろ?お前らの受けた依頼だろ。自分たちの力でやってみるんだ」


「分かりました」


「俺は見てるからな」


そう言うとライトさんはどこかへ行ってしまった。


「さて、じゃあ夕方までモーモーたちの見回りをして、ゴブリンが現れたらお互いにしらせよう」


「うん、わかった」


僕達もそれぞれ散らばった。索敵範囲を広げるためだ。もうすぐ夕方だ。すると、遠くの方でソフィアが炎の魔法を打ち上げているのが見えた。合図だ。急いでそちらに向かうと、依頼通り三匹のゴブリンがソフィアと対峙している。ソフィアは風の魔法を使って、近づいてきたゴブリンを飛ばしている。ソフィアに注意が向いている間に、ぼくはゴブリンの1匹を鋼の剣で切りつけた。


「グギャア!」


ゴブリンはバタリとその場に倒れて動かなくなった。前の剣より威力も切れ味もすごい。2匹のゴブリンはそれを見て逃げようとしたが、ソフィアがすかさず


「ウィンドウォール!」


と叫ぶ。ゴブリンが逃げるよりも速く、風の壁が出来上がっていた。それに触れたゴブリンたちはこちらに飛ばされてきた。


「うおおおおおお」


ぼくは剣術スキルを使い、ゴブリン2匹を目にも止まらぬ速さで切りつけ、倒すことが出来たのだった。


パチン


自然とソフィアとハイタッチを交わした。


「やったね!」


「ぼくら息ピッタリじゃないか」


2人で称えあっていると、


「いやぁ、初めてにしてはあっさり倒しちまったな。まあ、ゴブリンキングの時の方が大変だったし当たり前か」


ライトさんがどこからともなく現れて拍手をしながら近づいてきた。


「よーし、これで依頼達成だ!村長に報告しにいくぞ」


「はい!」「はい!」


こうしてぼくたちの初めての依頼は無事に達成されたのだった。

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