第10眠 作戦開始
作戦は単純だ。まず、ガモンさんが一人で敵の注意を引きながら少し遠くにある狭い小道に入る。小道は丘の真ん中だけを切り取ったようになっているので、左右が高くなっている。ソフィアはそこの高いところであらかじめ待っていて、敵が入ってきたらそこに魔法を打ち込む。そして僕は、ソフィアと一緒にいて魔法で倒しきれなかったゴブリンがいたら、降りて行ってガモンさんと一緒に倒していくという役目になる。うまくいけば一瞬で片が付くだろう。もちろんこちらに来ないゴブリンもいるかもしれないので、そこはメイさんとレイさんの出番だ。そして、ライトさんはゴブリンキングを倒すということになる。
ガモンさんがゴブリンたちの前にでた。
「ウォークライ!」
ウォークライはその気迫で、敵の注意を自分に集める技だ。ゴブリンたちはガモンさんを見てかなり興奮している。ガモンさんは盾を剣でたたきながら挑発してポイントまで走った。ゴブリンキングは、ゴブリンメイジに指示をして30体ほどのゴブリンを一緒に向かわせた。ゴブリンキングの周りにはあと20体。思った以上に連れてこれなかったようだ。僕はメイさんのアーティファクトによって少し遠くからこの状況を把握している。このアーティファクトは水晶型で、メイさんのつけているブローチからの映像が映し出されている。
「ソフィア、準備して。もうすぐ来るよ」
「うん、わかった」
そういうとソフィアは精神を集中させて、魔力を高めていく。魔法を使ったことがない僕でもすごい魔力だと感じてしまうほど高まっている。
ガンッガンッガンッ
盾をたたく音が聞こえてきた。するとすぐにガモンさんが現れた。小道に入り込む。ゴブリンたちもそのあとを追いかけてくる。まだだ、まだ10匹くらいしか入ってきていない。
「トム。まだですか?」
「まだ駄目だ」
15匹ほどが入ってきた。ガモンさんが必死に耐えている。ゴブリンが一気になだれ込んできていて、ガモンさんも耐えきれなくなってきているようだ。もう耐えきれないか。そう思い、
「ソフィア、いまだ!」
「はい!」
ソフィアは高めていた魔力を手に集め、叫んだ。
「バー――ニ―――ング!!」
ものすごい勢いの炎が両掌から火炎放射のように放たれた。ガモンさんも炎が見えた瞬間に、
「マジックシ―ルドォ――!」
と叫び、盾を地面に突き立てた。すると、小道の幅とほぼ同じくらいの半透明な壁が現れて、炎からガモンさんを守る。ゴブリンたちはなすすべなく、焼き尽くされていく。さすがガモンさんだ。ソフィアの魔法も防げるだなんて。そう思っていると隣で「キャアッ」という声がした。隣にはあのゴブリンメイジが立っていて、頭から血を流して倒れているソフィアの姿があったのだ。
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