第50眠 夢遊

 ぼくは無我夢中で剣を振っていた。リッチを圧倒していた。リッチは笑いながらそれを受けている。


「フフフ、バカダヨネ。カバウナンテ」


こんなことを先刻言われたからだ。その瞬間ぼくは怒りに任せて何度も何度もリッチに向かって剣を振っている。


「ナニヲソンナニオコッテイルノ?」


リッチはニヤニヤしながら聞いてくる。


「....に....るな」


「エ、ナニ?」


「カッシュをバカにするなよ!」


ぼくはさらに勢いを増して剣をふるったのだが、剣術スキルを使いすぎたのかMPが切れてきた。振る力もだんだん弱くなっていく。


「くそっ!」


「モットアソンデヨ。ソンナンデバカニスルナトカイッテンノ?」


今度はリッチが猛攻撃を仕掛けてきた。ぼくは受けるしかない。剣が重すぎる。

ついに僕は体に鎌を受けてしまった。


「ぐああああ!」


「トム!」


後ろでソフィアの声がする。だけどどんどん声が遠のいていく。しかし、遠くで何か声がした。


「夢スキル『夢遊』を発動します」


その瞬間僕の意識は途切れた。


「....て」


「トム、起きて!」


ぼくは目を開けるとソフィアとカッシュがのぞき込んでいた。


「あれ、リッチは?」


「何言ってんの。トムが倒したんでしょ!」


「え?」


いったいどうやって?






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