第49眠 10層

 リッチは右手を上にかざす。すると大きな鎌が現れリッチの手にふわっと乗った。そして、左手で鎌の刃をなでた。丁度ぼくがエンチャントするように。すると紫色のオーラが鎌の刃を覆った。


「あれはエンチャントだ。でもあの属性はなんだ」


「あれはきっと闇属性」


ソフィアが答えた。


「闇属性だって?それっていったいどんな効果があるんだ?」


「わたしもよくわからないんだけど、呪いとか妨害みたいな効果があることがあるみたい。そうメイさんが言ってた。ほかにもあった気がするんだけど」


「もっとちゃんと聞いといてくれよ」


「ごめん、だって疲れてたんだもん」


「こんな時にいい争いしてる場合じゃないよ二人とも。くるよ!」


リッチは鎌を構えてぼくたちに襲いかかってきた。鎌を大きく振ってくる。ぼくは剣で受けたのだが、あまりの威力に吹っ飛んでしまった。二人はそれぞれ避けることができていた。


「くっ、なんて威力だ」


「大丈夫かトム!」


「うん、何とかね。それよりまた来るぞ」


リッチがまた、大きく横振りしてくる。


「おらあああああ!」


カッシュはそれに合わせるようにハンマーを振った。今度はリッチが後ろに飛んでいく。


「はっはー!どんなもんだ」


「すごいなカッシュは」


「あれ?」


カッシュは自分の手を見ている。


「どうしたのカッシュ」


「いや、なんでもない。気のせいだ」


リッチは吹っ飛んだところで起き上がり、何か呪文を唱えている。


「次は何が来るの?」


ソフィアはおびえている。


「ソフィア、何が来ても返せるように魔法を打てるように準備して!」


「わかった」


リッチが何かを唱えるのをやめてこちらに掌を向けてきた。するとそこから青い火の玉がいくつも放たれた。


「ソフィア!」


「わかってる!」


ソフィアは杖を振りながら


「ブリザード!」


と叫んだ。杖の先から冷気が勢いよく飛び出し、周りの空気を凍らせていく。火の玉も凍っていく....はずだったのだが凍らずに向かってくる。


「どれだけ高温なんだあの火の玉は。ソフィア!」


「これが限界!」


火の玉はすべてソフィアに向かっている。


「とまってえええええええ!」


火の玉は....


「ぐはっ」


カッシュに当たった。


「カッシュ!」


カッシュはソフィアの前に立ちかばっていたのだ。


「くっそ、しくじった笑」


「カッシュこれ飲んで、はやく!」


ソフィアはポーションを飲ませる。


「俺にかまうなソフィア。それよりあいつに、トムに伝えてくれ。あの鎌のエンチャントは『重力』だって」


「重力?」


「そうだ。きっと触れた者の重さを少しずつ重くしていくんだ。さっきあいつを吹っ飛ばしたときに異変を感じたんだが、気のせいだと思ったんだ」


「わかった。伝える。だからカッシュは休んでて」


「トムは、あいつはどうしてる」


「トムは....え?」




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