15.冗談にもならないな
リヴィオの
母親のオフィーリアは、
自分達は海になる。悲しむ必要はない。ヴェルナスタ共和国が海と共に
「子供から見ても、
レナートは、部屋で一人、苦笑した。
ガレアッツオも、レナートと同じだった。家族を
生き残った男二人の方が、よっぽど
窓から
今頃、レナートのように、考えを整理しようとしているだろう。それも、長くはかからないはずだった。
深刻ぶってあれこれ空想しても、結局は仮説だ。確定情報がない。
アーリーヤは一度、もう明言している。わかってても、わかってなくても、やることは変わらない、国と家族を取り戻す。この行動指針は、現状、かなり正解に近いだろう。
アーリーヤの
もし、五つの
今ここで、戦うしかない。
そこまで考えて、レナートはまた、苦笑した。水上都市ヴェルナスタでは、十七歳のただの学生だったはずが、いつからこんなことになったのか。
「
出会った直後のアーリーヤは、ちょっと振り回されるような感じが、妹のプリシッラに似ていた。今の姿は、母親のオフィーリアに少し近づいている。笑うしかなかった。
レナートは、手元の拳銃に目を落とした。
六連発の
余計な重さを追加したことで、抜きにくく、構えづらく、射線を安定させることも難しくなっている。使い所の違う道具を、わざわざ組み合わせるくらいなら、個別に持った方が機能的だ。
それでも、まあ、レナートは銃も剣も
公館の備品管理室で、同じ改造拳銃を二つ、そろえてもらった。両腰に
「仕方ないさ。誰かの命を使いつぶすなんて……もう、まっぴらだ」
母親と妹の命を使いつぶして、自分と父親が生きのびたとは、思いたくない。後悔の
舌打ちをこらえ切れなくなる直前、部屋の扉が開かれた。扉を叩くそぶりもない無遠慮は、見なくてもわかる。
「そろそろ、頭の中が面倒くさくなってる頃かと思ってさ」
「そっちは、考えるのも面倒になったって感じだね」
リヴィオが肩をすくめて、手に持っていた小箱を、レナートに渡した。
「その銃の
「え……? ごめん、正直、暴発がすごく怖いんだけど」
「大丈夫だって! いや、多分!」
心もとない
「なんか、悪かったな。
「そんな見方があるんだ? ぼくの
「そうか? でも、
「そういう腹づもりは、本人を前にして言わないよ、普通」
レナートも、リヴィオの
この友人は、わかりやすい。そのくせ、他人の複雑なところをわかっていないまま、まん中を突いてくる。レナートは受け取った小箱から銃弾を取り出して、
「まあ、気にしないでよ。ぼくはぼくで、やりたいようにやってきたし、これから先もやるつもりなんだし、さ」
「それな。おまえも<
「勝手に
茶化しながら、照れ隠しを混ぜた視線を
リヴィオの言った通り、面倒くさくなっていた頭の中が、単純に整理できた。わかることは少なく、やるべきことは困難でも、選択肢は多くない。片足を突っ込んだからには、両足とも突っ込んで進むか、ひっくり返るか、どちらかしかないのだ。
レナートは、言葉にしなくても、リヴィオに感謝した。二つの拳銃に合わせて十二発、
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