48.どんなことをしても守るよ
アーリーヤが見つめている海は南側で、その先は、
ヴェルナスタ共和国は、フラガナ大陸の西岸に沿って北上し、オルレア大陸の西岸から内海に入った先にある。ここから見れば、北の
だが、アーリーヤの言っているのは、もっと
二人ともヴェルナスタ共和国、特務局<
「なあ、レナート。それで結局、ロセリアやアルメキアとは、どうなったんだ? アーリーヤは大丈夫なのか?」
「まあ、多分ね」
レナートは、また
「ザハールは抜け目がないよ。メルセデスさんだって鋭いし、もう気がついてるんじゃないかな。自分たちの都合で、勝手に動いてくれるさ。アーリーヤは……しばらくは、安心だよ」
流出した事実、流出した先がはっきりしているなら、手がかりもなしに失敗したら死んで終わりの人体実験をするより、流出した情報を追う方が確実だ。後は、アーリーヤという個人を、
「
レナートが
小さな
アーリーヤは秘法の
もしかしたらエングロッザ王国の他にも、
アーリーヤの命は、アーリーヤのものだ。その意思は変わっていない。
剣には剣の力が、必要になる時が、いつか来る。レナートは、重さを握りしめた。
「良いんじゃねえの? <
「願ったり
リヴィオの軽い調子に、
「あ。ちょっと待てよ。おまえ、もうアーリーヤがいるじゃねえか」
「簡単な文脈で、すごいことを言うね。ええと……そうだけど」
「
リヴィオが突然、頭を抱えてぶっ倒れる。甲板に強打した
「私みたいな、なんでしょう」
「ちょ……待っ……ッ! まじ……ッ!! あた……割れ……ッッ!!!」
まともな声も出せないリヴィオの頭を、グリゼルダが、
「うん。そういうのを見てると、心配にはなるよね」
グリゼルダにぎろりとにらまれて、レナートが肩をすくめた。
ちょうどアーリーヤが、いつの間にか
声の呼ぶ方へ歩く。
「レナートさま! ほら、あそこに……すっごく大きな魚が見えましたの! なんか、
「ああ、あれは
「
「
料理を知っているだけで、食べたことはないけれど、
アーリーヤは、また少し背が高くなっていた。追い越されてはいない、と思う。
とても
レナートの推定は外れなかった。<
それでも、これ以上は、使わせたくない。
命は、生きるためのものだ。幸せに生きて欲しい、それはレナートの
どんなことをしても守る、なんて決意の形は、ヒューネリクに似ていて愉快じゃないが、まあ、アーリーヤの兄をあまり邪険には考えないでおく。
リヴィオが言った通りだ。
アーリーヤがいる。守るものは、もう決まっている。
そのためなら、
レナートはアーリーヤの手を握って、はしゃいでいたアーリーヤがレナートを見つめ返してくるより早く、腕の中に抱きしめた。
〜 始まりの大地と終末の都市 Initium Terra et Finis Urbs 完 〜
始まりの大地と終末の都市 Initium Terra et Finis Urbs 司之々 @shi-nono
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