31.なんとなくわかったよ
レナートを
「それに、エングロッザの創造神話の迷惑なところでさ。国王の結婚相手は、同じ王族の中から決められるんだ。ぼくの場合はアーリーヤだった。ひどいと思わない? いや、アーリーヤがどうってわけじゃなくて、兄妹だよ?」
自身の
「へえ……それも初耳だね」
「レ、レナートさま! あの、ええと……こ、こういうことをお話する場合では、ないかも知れませんが! わたくしとしましては、レナートさまとの
「うん。本当にそんな場合じゃないよ。後にして」
急に、いつもの調子で会話を散らかしたアーリーヤを、とりあえず置く。アーリーヤが、
「お兄さまも、レナートさまも、わたくしの扱いが雑ですの……」
「ごめんね、アーリーヤ。とにかくさ、レナートくんにも妹がいるって想像してもらって、その妹を自分の犠牲にするのって、やり
「……っ!」
「あー、まあ、途中のごちゃごちゃは置いといてさ。王さまが
立ち上がりかけたレナートの、服の
そのまま、リヴィオはゆっくりと、ザハール、ルカに顔を向けた。
「で、ここからどうすんだ? なんか近代化も充分してるみたいだし、おっさんたちも俺たちも用なしで解散、めでたしめでたしってこと?」
「リヴィオくん、だよね。痛いところを突いてくるなあ。今まで通り引きこもるなら、それでも良いんだけど、国際社会に出て行くなら体制や法律をちゃんとしなくちゃいけなくて。ロセリアや東フラガナの支援は、やっぱり欲しいんだ。街をいじってるのは、ぼくの趣味みたいなものだよ」
ヒューネリクの瞳が、光の線を消した。
「水も食べ物も充分で、地下の熱や燃料から電気を作って、電気で動く機械と
「共産主義で国を作り直すなら、王族も普通の人に格下げ、ぼくが最後の王さまなんだ。エングロッザの王族は、創造神の
「女の子を一人減らして
「それを言われると恥ずかしいなあ。本当、ごめんね」
リヴィオの身もふたもない言いぐさに、ヒューネリクが今度は、ばつが悪そうに頭をかく。苦笑しながら、
「おわびってわけじゃないけど、せっかく招待したんだし、みんな、好きなだけ楽園を楽しんで欲しいな。ぼくの
豊かな食料、
「だからヴェルナスタに帰る時は、邪魔なアーリーヤを連れて行ってよ。ぼくは、アーリーヤも君たちも……できれば、殺したくないんだ。おとなしく言うことを、聞いて欲しいな」
ヒューネリクが、笑みを浮かべた。
レナートも、ましてアーリーヤも、無言だった。
********************
ヒューネリクが
翌朝、リヴィオの客室に行こうとして開けた扉の外に、相変わらず
「昨日の今日で始末しようって流れじゃ、なかったと思うけど」
「もちろんです。朝食と、昼食と、夕食のお誘いですよ」
「横着だね」
「アーリーヤ王女と、他の方々も、ルカが迎えに行っています。一日ゆっくりと、楽園都市を紹介しますよ」
「
「誤解があります。これは真実の友人として、多忙を極める彼を、少しでもお手伝いして差し上げたいという誠意です」
「伝われば良いね。その誠意とやらが、さ」
レナートは
塔内の階層移動は、箱型の
ザハールが言った通り、塔の地上階、正面入り口の大広間に、ルカ、リヴィオ、ニジュカ、アーリーヤが待っていた。
男連中は、そろいもそろって昨日までと同じ格好をしていたが、アーリーヤだけは最初に出会った時のような、
レナートもアーリーヤも、
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