14.ちょっかい出させてもらいます
ヴェルナスタ共和国は、北方で東西に大きく横たわるオルレア大陸の、
国の本土は、
そしてその物資流通網は、内海からも飛び出して、遠く西に大海を超えたアルティカ大陸、南に大きくのびるフラガナ大陸の海岸線にも、同じく
もちろん、各地の内陸国家としては、港町の領有権を取り上げて貿易を直轄管理した方が、利益も税収も大幅に上がる。短期の計算ではそうなっても、長期の運営となると、そう単純にはいかなかった。
すでに完成の域にある海上貿易圏を、
またヴェルナスタ側も、
結局、内陸国家としても、ヴェルナスタ共和国に港町を預けて、関係を
フラガナ大陸のほぼ南端、港町インパネイラも、その一つだ。
文化も風習もフラガナ流、街並みもフラガナ流で、住民もフラガナ大陸の黒色人種だが、執政と法務はヴェルナスタ共和国の方式だ。ヴァルナスタの公館が役所であり、本国から
そこの一室で、ガレアッツオが重々しく、目の前の男をにらみつけた。
「数年に一度だ。その程度の海外領土視察に、こう問題が重なると、海の加護に個人的な不安を感じるな」
「ヴェルナスタ共和国の
それなりにまっすぐ立ちながら、男が軽口を叩く。
窓辺からの
ガレアッツオが、あごに手を当てて、
「妻と娘は、前回の海外領土視察で、
「は……?」
「だが、まあ、反抗期の年頃だ。大らかな気持ちで、見守って欲しいものだな」
苦笑するガレアッツオに、男が、ようやく気まずそうに頭をかいた。それでも、大して
そして、
「なんか、失礼しました! それはさておき、東フラガナ人民共和国、陸軍所属、ニジュカ=シンガです。フラガナ大陸のことは、俺たち黒色人種でまとめるのが
ニジュカが右手で敬礼しながら、器用にと言うか、
ガレアッツオはため息をついて、封筒を受け取った。
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六年前の夏、レナートは妹のプリシッラ、母親のオフィーリアと一緒に、今と同じガレアッツオの海外領土視察に
オフィーリアは三十二歳、レナートと同じ
船員たちが必死になって船を支えたが、いよいよ、ガレアッツオたちの乗船していた船に限界がきた。もう一隻に乗り移るしかないが、
レナートは
オフィーリアとプリシッラは、なにかの下敷きになったようだ。ガレアッツオが、レナートだけを抱いて運んだ。悲鳴と破壊音が
ヴェルネスタの病院でレナートが、一人きりで目覚めた時、ガレアッツオはもう
海も嵐も、自然そのものだ。
それでも、
ヴェルナスタ共和国に革命とやらの騒ぎを起こそうとしていたザハールに、そんな情けない状態を利用されたのが、一年前だ。
その時、立ち
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