20.母さんかよ
港町インパネイラを出発して五日後、平野部から東回りの
上部は、フラガナ大陸の中央部に広がる、広大な台地だ。古代に
その
レナートたち四人が隠れた密林の一部から、遠目に見える岩場の上に、異常な集団が立っていた。
「こそこそとつけ回してきたのは、気がついている! 我らは偉大なるアルメキア共和国、陸軍特務部隊、
レナートは、少し考えた。
多分に外見からの先入観だったが、異常な、という評価は、どうやら適切だったようだ。
堂々と立ち並んだ十人以上の男たちは、皆、若々しく立派な体格をしていたが、遠慮して言えば華やかで、正直に言えば馬鹿げていた。
「ええと……なんだよ? いきなり、アルメキアって? ベルグってやつ、フェルネラントの軍人じゃなかったのかよ?」
「いやあ、俺にも、さっぱり……あいつ、引っ越したのか?」
リヴィオの
「なんだか、
「
「とりあえず、完全に裏目に出たみたいだね……話も通じなさそうだし、この場をどうやって……」
「
「ちょっ……短いぞ、
「無礼の
リヴィオの抗議をものともせず、
密林の樹木は太く、
「さすが、正義と腕力と
「弾薬の無駄使いですよ」
ニジュカの
「向こうが騒いでいる内に、さっさと
「おまえ、若いのに頭が回るなあ。
「冗談の産物にならないで済みますね」
「もちろん
弾薬の無駄使いを続けるアルメキア軍人たちを
リヴィオの隣に、グリゼルダが現れていた。
長い金髪と
「悪い、レナート。ちょっと行ってくる」
「夕飯までには戻りなよ」
「母さんかよ」
リヴィオが苦笑する。
そして密林の大地を踏みしめて、
もちろん、
「どうせ当てられません! 適当に注意を引くだけですから、アーリーヤと一緒に離れてください!」
レナートはニジュカに叫んで、樹木の
ふざけた格好をしていても、相手は一応、軍人のはずだ。軍人が小銃で当てられない距離を、まして
ニジュカに小銃を使わせるより、せめて無駄が少ない。
撃ち出された弾丸は、それなりに、
茶髪や金髪や赤髪の、中世の騎士みたいな美男子たちが、耳を押さえて転げ回る。レナートも
立て続けに、岩場で音が炸裂する。
なるほど、影も形もない、全方位に音速で到達する空気の波動なら、ザハールの生体加速の
「いや、でもこれ、炸裂するまでの時間とか調整は……」
「お、おのれ!
撃つ方の疑問と、撃たれた方の気合いに、四発目の弾丸が
「やっぱり適当なんだ……不良率も高いし! 頼むから、銃身の中で炸裂しないでよ……っ!」
レナートは茂みから茂みに移動しつつ、五発目を撃つ前に、とりあえず、祈るように銃身を
その
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