33.俺たちまで飲んでる場合か?
二人ともに二杯目の
その背後から、レナートの手元に、
「あんたたちは、こいつにしておきなよ。まったく、あのろくでなしは調子に乗って……うちの
見ると、
手早く、同じ物がリヴィオとアーリーヤの前にも並べられた。
「ありがとうございます。あっちは、まあ……別に、迷惑っぽくはなさそうなので、気にしないでください」
レナートの
「あははははは! 確かに、そんな感じだね! ええと、こっちのお兄さん二人は時々見かけてたけど、あんたたちは初めてかな? マイラだ、よろしくね!」
マイラの手が、持った大きな
薄く伸ばした
「少し離れたところで
「ありがとな、マイラさん! この包み焼き、すっげー
言われる前に
「リヴィオ。名前を言われたら、自分もすぐ教えるもんだよ。すみません、マイラさん。ぼくはレナート、彼がリヴィオ、この
「アー……ア、アーリャ、です。よ、よろしくお願いします、の」
アーリーヤが口を
「はい、よろしくね! お兄さん二人は、
「そうですね、お願いします」
すでに際限なく
「おい。俺たちまで飲んでる場合か?」
「では、こちらの彼、ルカには
「へえ? あんた、変なの飲むんだね」
「やめろ! こいつと同じ物にしてくれ!」
「それが良いさね。じゃあ、ちょいと待って……」
「こんにちは、マイラおばさん!」
「あー、腹へった。なんか食わせて!」
すぐにもう一人、男の子が現れる。どちらも十歳前後で、顔立ちがよく似ていた。
「お、今日は早かったね。遊びすぎてぶっ倒れる前に、そうやってちゃんと食うんだよ。ほら」
マイラが、リヴィオに好評だった包み焼きの皿から、二つをそれぞれに手渡した。どれもこれも
「ありがと……って、わあ! お姉ちゃん、すっごい
かぶりついた包み焼きのついでに、食卓の面々へ女の子の視線が動いて、アーリーヤの
「そ、そそ、そう、ですの? あ、ありがとう……ですわ」
「あたし、ミナチ! あと、カナンお兄ちゃん!」
「アー……リャ、ですわ、よろしく……」
「すごい、すごい! 変な白い人もいる!」
「こら。そんなはっきり言うもんじゃないよ」
「ごめんね。ここいら辺の子たちよ。もう何日も浮かれちゃってて、これはこれで、心配でしょうがないよ、まったく」
「いえ、気にしないでください。白色人種が珍しいのは、当たり前ですよ」
レナートも苦笑する。
今のアーリーヤが、人種の別によらず
ミナチの兄、カナンの方は、包み焼きに口もつけないまま、アーリーヤに
その真横で、やおら、
ニジュカと、マイラの酔っぱらい
多分、
あっけに取られるレナートたちの周囲で、他の食卓からも演奏や
ついには
ミナチが、幼い
「アーリャお姉ちゃん、踊ろうよ! ほら、お兄ちゃんも一緒に!」
「お、おい! そんな、急に……!」
「えー? 変なの。お兄ちゃん、
「おまえな……っ!」
ミナチとカナンのやり取りに、アーリーヤが、ふと目を横に流す。
「いえ、その……わたくしは」
レナートは顔を
アーリーヤとカナンが、なんだか同じような感じに、
「ええと、祭りの踊りとか、わかんないか? だったら、俺が教えてやるよ」
「な、なにをおっしゃいますやら! わたくしも婦女子として、
「なんか、おかしなしゃべり方するよなあ」
「そ、そ、そんなことありませんの! 大人の婦女子は、こういうものですの!」
「えー? 聞いたことないよー!」
ミナチが笑って、いきり立つアーリーヤの腕に、抱きついた。もう一方の腕を、カナンが握る。
三人が、すぐに音楽と踊りの中に飛び込んで、食卓には白色人種の男四人が取り残された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます