23.使ってくださいませ
空間そのものが
ようやく視界の可視光が、本来の色調を回復した時、雷撃の収束点に残っていたのは、
「おっと。やりすぎちまったか?」
オズロデットが、
「調子に乗らないのよ、オズ」
「お
オズロデットの軽口を、
割れて、つぶれて、その度に
オズロデットが無言でメルセデスの前に立ち、右脚を振り抜いた。一条の
全身が切り出したような鋭角を持ち、半透明の装甲が、
両肩後方に翼のような四本の
「確かに……相性、良いみたいだな。
オズロデットが、引きつった笑顔を浮かべた。
「ちょっと落ち着こうぜ、親友……」
「ツレねえな、親友ッ!」
リヴィオが
背面と両肩後方の
オズロデットが、
********************
リヴィオが飛んで行った先で、落雷のような音が連続する。転がり込んだ茂みの
呼吸を深くして、整える。横から、アーリーヤが左腕に触れた。
「レナートさま。難しいことはわかりませんが……わたくしが一緒なら、レナートさまも、
「使えないよ」
にべもなく、レナートが言い捨てた。
「君の命は全部、アーリーヤ、君のものだ。ぼくはそんなもの、
「で、ですが……っ!」
アーリーヤが、目を伏せた。
「申しわけありません……わたくしの考えが至らなかったばかりに、こんなところで、争いごとに……せ、責任を、感じておりますの」
「見当違いだよ。前にも言ったけど、ぼくもリヴィオも、ニジュカさんだって、自分の都合と考えで動いてる。アーリーヤの責任なんて、これっぽっちもないさ」
「邪魔だから、ここに隠れてなよ!」
「レナートさま……っ!」
レナートが、茂みを飛び出した。
少し離れた位置で、
ニジュカも、まともに受け止めたりはしない。二振りの
割って入ることなど、レナートは、最初から考えていなかった。
ニジュカだけに見える位置で、
ベルグが一瞬、レナートを見た。いや、おそらく、弾道を見切った。
凄まじい
レナートが、かろうじて両腕の銃剣で受けられたのは、レナートの技量ではない。瞬時に追いすがったニジュカの、
ようやく
「ああ、もう! まともに邪魔もできないなんて、傷つくな……っ!」
ニジュカとベルグがほぼ互角に戦っていても、時間が
リヴィオと相手の
状況は、はっきりと悪い。レナートが戦力になっていない。
「レナートさまっ!」
今、一番、聞きたくない声を聞いて、レナートが顔をゆがめた。
「隠れてなよって、言っただろ!」
「そんな状況でないことくらい、わたくしにもわかりますわ!」
アーリーヤが、
レナートの心の奥に、痛みが
アーリーヤの金茶色の巻き毛と、大きくて丸い目、
どちらの命も、もう、どこにもない。記憶も情報も、命ではない。
だから、
「レナートさま……皆さまが、御自分の都合に命をかけていらっしゃるなら、わたくしだって同じです。一人だけ仲間はずれは、あんまりですの」
アーリーヤが、またレナートの左腕に触れた。少しためらってから、アーリーヤは、今度は両手で、強くつかんだ。
「わたくしの命を、
「
レナートが
「ベルグは、君を
レナートは右手の
残った一丁の
「仕方ないさ。自分のために、誰かの命を使いつぶすなんて……もう、まっぴらなんだよ!」
誰に向かって叫んでいるのか、レナートにはわからなかった。誰の声も、もう聞いていなかった。
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