第三章 楽園の先に見えるのは
26.少ししたら出かけましょう
追跡や不意の
河の岸辺では、
「武器を回収していて、時間を要した。
「
メルセデスが肩をすくめた。
いつもと違って、前時代的な金の
「一応、心配したのよ? 変わりないようで、良かったわ」
「ヴェルナスタ共和国<
「身体で返す恩が増えた、と認識してね。ミスタ・サムライ」
「ミスタ・オチビの言っていたあなたのお知り合いは、東フラガナの方かしら」
「肯定する。世界大戦と、その後の作戦行動で面識がある、同業者だ」
「敵? 味方?」
「その分類に意味はない。行動目標が
「あなた以外の全人類には、その辺、もうちょっと意味があると思うわ。でも、そうね……私の聞き方も
「推測だが、可能性は高い。東フラガナ人民共和国の大目標は、フラガナ大陸全域に黒色人種の自治を定着させることだ。こちらの行動目標は、それを
「その割には、派手に騒いでたみたいだわ」
「
「……気の毒だったわね。あなたじゃなくて相手が、多分」
メルセデスのため息に、ベルグは答えなかった。
それより早く、岸辺の方から、男が駆けてきたからだ。長めの茶髪が、風になびいている。
メルセデスの前に立ち、よく訓練された、規律正しい敬礼をする。
「準備が終了しました! いつでも出発できます!」
「御苦労さま。それじゃあ全員、食事を
「は……っ」
茶髪男は、敬礼で
「あの……先ほどの戦闘は、
「あら。そういうのは、別に気にすることじゃないわ」
メルセデスが立ち上がり、まんざらでもなさそうに
「生きるか死ぬかの軍隊だもの。勝ち負けは、最後に私が決めるわ。細かい
からかうような視線を向けられて、ベルグが
「同意しよう」
「あら、するの?」
「まず
茶髪男が、すでに、わからない顔をした。メルセデスも苦笑する。
「下っぱのサムライはしないのかしら?」
「武人は貴族が
「
「逆だ。厳重注意で禁止された。世界大戦において、大局的には
「速いのか遅いのか、わからないわ」
今度こそ吹き出して、明るく笑いながら、メルセデスが背中を向けた。岸辺へ歩いて行く後ろを、茶髪男が、手早く回収した折りたたみ
ベルグは、笑われた意味がわからなかったが、確認する意味もさらになかったので、黙って続いた。
木製でも鉄製でもない。多数の
「ここからは、河を
「王都の南側が、すぐ淡水湖に面している。地理上は、至近に到達できるだろう」
それでも、
「内燃式じゃないわ。電動式の
上着がはだけるのも構わない様子で、メルセデスが豊かな胸を張る。そして
半瞬、
やがて見渡す限りの水上に、魚や
「河の底にも、
メルセデスが
ベルグは納得して、同時に、認識を改めた。
メルセデスの
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