7.恩に着てちょうだいね
意識が
次に聴覚を確認する。少し遠く、わずかに、集団らしい人数の物音が聞こえた。
そして、なんらかの仕切りをともなう同一空間に、自分以外にも一人、静かな呼吸音があった。やや離れているが、銃を持っていれば必中の射程圏だ。身体の向きや、視界までは判断できない。
肌の感触から、
最後に目を開けて、視覚情報を確認する。周囲に
目を開けたからには、こちらが起きたことを相手に知られる前提で備えたが、なんの変化もない。視線を動かして、左側、
異常な、という評価は、やや主観的だった。
わずかな体感情報だが、意識の最後にあるフラガナ大陸の
軍隊か、それに近い集団の、野営の
最低限、
観察していても気がつく様子がないので、ベルグは身体を起こした。やはり、
「あら、もう起きたのね。そんな気がしていたけれど、たくましいわ。ミスタ・オチムシャ」
落ち武者というのは、いささか不名誉な称号だが、記憶をたどればそれほど違わない。無言のベルグを見て、女がからからと笑った。
「
「ベルグだ。所属に関する回答は黙秘する」
「メルセデス=ラ・レイナよ。こう言っちゃなんだけど、あんな時代遅れのカタナを振り回してるのは、フェルネラント
「刀ではない。
「あなたのそういうところ、かなり好きだわ」
メルセデスが笑い直しながら、雑誌を手元の台に置いて、
「軍人なんだから、他人を殺したり、自分が死んだりすることは、もちろん想定の範囲内よね? ねえ、あなた。あなたは人が死んだら、心とか
「物質空間とは異なる
「……ごめんなさい。かなり好きって言ったばかりだけど、ちょっと世話を焼かせて。カタナの細かい種類とか、軍人の前提を否定しないとか、フェルネラント独特の
「文脈が
ベルグの返答に、メルセデスがまっ赤な服から露出した白い肩を、軽くすくめた。
「話を進めるわ。
メルセデスの要約した説明は、ベルグの認識する
「
「それで、どっちがタチでどっちがコダチなんだい、
ベルグのいる
「オズロデットだ。よろしくな、
一瞬前まで気配もなく、オズロデットと名乗った少年は、突然現れていた。
ベルグは、視線は動かさなかったが、メルセデスと見合った目の
「あたしたち
「ひでえな、お
「で、ちっぽけな人間が、神さまっぽい力のあれこれを
「オズロデットだ、お
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