43.なにも苦しくなんかない
ルカは、レナートを見なかった。ただ、口の
レナートはアーリーヤを胸に抱いて、ルカとチェチーリヤの横を、
黄金の
異界の
「ヒューネリク、あんたは……っ!」
「お兄さま……!」
ヒューネリクが、顔の皮を
『正解だよ……。さすが白色人種は、頭が良いね……頭が良い。
淡水湖から
すべての
「お兄さま、わたくしは……難しいことは、わかりませんわ……」
アーリーヤが、
「それでも、なにか……なにか、おっしゃってくだされば……一緒に苦しむくらい、できましたの!」
『アーリーヤ……おかしいな。アーリーヤは、まだ……間違っているね。ぼくは、なにも苦しくなんかない。必要なことを、考えて、しているだけだよ』
「必要なこと、か。その一言で充分だよ」
レナートが、
「あんたもルカも、リヴィオたちだって、あれだけ暴れて、王都の人が誰も騒がない。この
アーリーヤが王都のどこかにいる状況で、
そして同時に、
「
言葉を
「ぼくだって……アーリーヤを守りたい。リヴィオも、きっと同じだ。ひょっとしたらニジュカさんも期待できる、かな。ザハールとルカは駄目だね。自分たちの都合が最優先だ。メルセデスさんは……どうかなあ? 美人を信じたがるのは、男の悪い
「レ、レナートさまっ?」
「うん。まあ、つまりね。みんな、ばらばらなんだよ……それが、当たり前なんだ」
抱き上げた胸の中で、丸い目をもっと丸くしたアーリーヤに、レナートは片目をつむって見せた。そしてすぐに、ヒューネリクを、厳しい顔で
「……だけど今、ぼくたちは、あんたの前に立ってる。ぼくたち、みんなで、だ! それ以上の本当なんて、
『レナートくん……君は……』
「
『……』
「あんたは……人を信じる度胸もないのに、信じたがりで、世間知らずのお人好しだ!
『ありがとう……そうだね。きっと、そうだ。君を、信じたいな』
『君が弱いなら、アーリーヤのために、ここで死んで欲しい。君が強いなら、ぼくのためにぼくを殺して、アーリーヤを連れて行って欲しい。それが良いな……それで良いな。ぼくは、人の子を神話に
「「その態度が、気に入らないって言ってるんだよ/ですのっっ!!」」
長いような、短いような瞬間が過ぎて、すべて
いや、違う。
小さく、小さく、
「妹にも、
ヒューネリクが、ルカを見た。
ルカは右腕だけを前に、
ルカが、
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