41.そうしておとなしくしていなさい
ザハールが、感にたえるようなため息をついた。
「レナートくん、アーリーヤ王女……感動しました。とても
「あんたが言うと、いかがわしく聞こえるよ」
「誤解があります」
ザハールはおだやかな表情で、微動だにしなかった。ただ、小剣の刃だけが、
ザハールの左手首と、レナートの右手首が
レナートは、目を閉じなかった。内側から
ザハールの背中を、両手に持った小剣を、視界に認識した次の瞬間には、
「
ザハールが、
「無茶をするあなたの危機を救うのは、これで直近、連続の二回目です。実績を評価してもらいたいですね」
からかうような含み笑いを残して、
一回、二回と、
だが、認識できる。目で追える。
こんな時にまで、
「わずかな……時間くらい、か……。そっちこそ……実績を、軽く……考えてるじゃないか……」
しぼり出すようなレナートの声に、レナートと抱き合うアーリーヤの腕が、精一杯の力を込めた。レナートは逆に、腕の力を抜いて、長い金茶色の巻き毛に、
「大丈夫……。これは……もう、ぼくの
内側から
アーリーヤが、レナートの腕を強くつかみながら、ゆっくりと身体を離す。瞳と瞳が、向き合った。
アーリーヤは、とっくに泣き
「一緒ですわ……レナートさま」
レナートの
アーリーヤが瞳を閉じた。
「わたくしが、わたくしの意思で、わたくしの命を使います。レナートさま……お兄さまの願いにとどく剣を、わたくしに」
「約束を果たすよ。誓いの剣を、君に」
レナートも瞳を閉じて、アーリーヤと
黄金の
羽根飾りを広げたような
レナートとアーリーヤを氷の刃に乗せて、同じ長大な剣が十本、翼のように空間の
レナートが、アーリーヤを胸に抱き上げた。アーリーヤも、レナートに
見上げる先、ではない。
また、水晶の鈴の鳴るような音が響いた。
レナートとアーリーヤを共に乗せた、黄金の
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王都ジンバフィルの市街からは、少し
ニジュカが、いつの間にか
「若いの。あっち、行けるか?」
「そう言われてもなあ」
リヴィオが肩をすくめる。巨塔に吸い戻されていた
「こちらの戦線を分断してから、うっとおしい数ばかりいる
リヴィオの背中に寄り
碧眼が
「こいつらの数、減ってないよね?」
「
「あのでかいのを放っておくのも、向こうのやり方に引っぱられて、街の人をあちこち襲われるのも、まずそうなんだよなあ」
「だから、こっちは任せとけって」
リヴィオとグリゼルダの
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