40.やってみせるさ
ヒューネリク自身である、
「この状況で市街に向かっているのは、死なせないためでしょう。あなたたちにとっては、見も知らない人たちを」
メルセデス本人が言ったように、アルメキア共和国陸軍の特務部隊としては、レナートたちもザハールたちも敵のはすだ。周囲すべてが敵の状況で、おそらくヒューネリク本人からここに至る失意と決意を聞いて、なお南北から包囲された王都に向かう。
事態の結果を背負う責任の意識、最悪の終末に
レナートの横で、アーリーヤとザハールも
「良いね、美少年! お
「オズ、余計なことを言わないの。どうしてそう、あなたは、誰にも彼にも気やすいのよ」
「オズロデットだ、お
「ベ、ベルグさまっ!」
気やすく、不穏になりかけた会話に、やや無理気味にアーリーヤが割り込んだ。ベルグが無表情のまま、少し言葉を探す。
「
「……もう、それで良いですわ。その上で今度こそ、わたくしたちの話を、聞いていただきますの!」
アーリーヤがごり押す。国際交流の
ちょうどそこへ、
メルセデス、オズロデット、ベルグ、そして
「ヒューネリクは、ぼくたちが殺します」
レナートは言葉を、
ここは、もう戦場だ。そうすることでしか、最悪の終末は防げない。
「だから、時間を作って欲しいんです。市街の人たちを守ってください。リヴィオとニジュカさんだけじゃ、手が足りない……。ヒューネリクの……」
判断を迷わない、そのつもりだった。それでも、レナートは、奥歯を
「あの、
どうにも、余計なことが、口をついて出た。我ながら
「アーリーヤ王女」
「は、はい」
「あなたは大丈夫だって……あのミスタ・オヒトヨシに、信じさせてあげて」
オズロデットが片目をつむって、ベルグが無言で、続く。
「いつかアルメキア本国の、最高級の
「レ、レ、レナートさまの同伴は、お断りしますの!」
「あら残念。保守的なのね」
レナートたちも、南へ、淡水湖の方角へ目を向けた。
すぐさま、
無限と無限の、異界の
だが、それだけではない。
「レナートくん」
「私の
「知ってるよ。経験者だからね」
レナートは、肩をすくめて苦笑した。右横にいるザハールに向けて、右手を軽く
「ヴェルナスタ共和国では、時間をかけました。私の血液が入る分、あなた自身の血液は排出しなければなりません。
「だろうね」
「血液は、脳にも
「自分の貧血だけ心配してなよ」
ザハールに言い捨てて、
「
アーリーヤの力、
リヴィオの
推定に、推定を重ねる。どうせ、
「ぼくの、
「レナートさま……」
「一緒だ。アーリーヤ」
レナートはアーリーヤに、
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