39.どれもこれも不味かった
淡水湖への通りを、
ゆるやかに
複数の銃声も聞こえてくる。敵は、
「なあ、アーリーヤ王女」
すぐ後ろに、ザハールとレナート、アーリーヤがいる。ロセリア連邦陸軍の茶色の将校服と、たてがみのような
「俺は手加減しない。する理由がない。俺か、ザハールか、アルメキアの連中か……おまえたちか。その中の誰かが、ヒューネリクを……」
言いかけて、苦笑する。
「俺たちは、この事態を持ち込んだ侵略者だ。わかっててやったことだから口先だけだが、おまえ個人には、あやまっておく。すまなかったな」
ルカは顔を、アーリーヤに向けなかった。ザハールとレナート、アーリーヤまでが、苦笑した。
「わたくしも、あやまりますわ。怪しげな異人の侵略者ども、は、そのままでも……お兄さまは、友達とおっしゃられていましたもの。それだけは、つけ加えてやりますわ」
ふん、と鼻息を吹くアーリーヤの肩を、レナートの手が抱いた。
「次の雷撃が見えたら、飛び降りるよ。アーリーヤ、それからザハール、あんたも」
「はい……!」
「承知しました」
ルカと背中合わせに、
通りの
レナートとアーリーヤ、ザハールが飛び降りた。
「ヒューネリク……っ!」
『ルカ……』
空を渡って、大蛇が、雷撃をものともしなかった
黒い肌の
『ルカ……君とは、あんまり仲良くできなかった、かな。友達なのに、悲しいね』
「ザハールが聞いたら、怒りそうな
ルカの視線がヒューネリクを、ヒューネリクの視線がルカを、
「御主人さま……私も、それは、それはもう、不愉快で不愉快で……」
大蛇と
『そう、なのかなあ。だったら、今からでも、もう少し仲良くできないかな?』
「……おまえの理屈は、わからないでもねえ。俺たちだって散々、他人を食い物にしてる白人さまだしな。ああ、ついでに言や、おまえの作ったロセリア料理もどきは、どれもこれも
チェチーリヤが、長い白髪と両腕を、大きく拡げた。
ルカがチェチーリヤを胸に抱くように、両腕を交差させて、突き出した。
「けどな……それでおとなしく殺されてやるほど、おまえを見損なってもいねぇっ!」
腕を
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断続的だった雷撃が
その眼前に、
襲撃者が
砂色の野戦服の
向かい合ったザハールは、小剣を、もう無造作に下げている。レナートが、ようやく立ち上がった。
「待ってください、ベルグさん! ぼくたちは……」
「敵だわ」
ベルグの代わりに、女の声が
市場通りの先から、まっ赤な
「少なくとも、ロセリアのコミンテルンは敵ね。一緒にいるのだから、あなたたちも、よ。信用する理由がないわ」
「こちらにはあります、アルメキア共和国の、メルセデス=ラ・レイナさん。あなたたちが市街に向かう、この場所で会えましたから」
レナートは言葉を一つ一つ、はっきりと口にした。
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