46.ゆっくり考えます
エングロッザ王国の王都ジンバフィルに、混乱は少なかった。
険しい山脈の下、高原と密林、
父王を
そういう設定が、公表された。
ヒューネリクの
「実は生きていて
「殺した張本人が言うと、
「まあ、大丈夫だろ。フラガナだからなあ」
ザハール、ルカ、ニジュカが、薄く伸ばした
明るい色の
「それで、おまえたちまで本当に帰るのか? 革命と共産主義で、植民地でふんぞり返りに来たんだろう。これからじゃないか」
ニジュカが、からかうように笑う。ザハールが肩をすくめた。
「すぐに後任で、
「本音がこぼれてるぞ。俺にはうるさく訂正したくせに、本国の公式設定はどうした?」
「酒の席ですから」
ザハールが、ニジュカに笑い返す。
「その誰かの着任時は、もちろん、
今度は、ニジュカが肩をすくめる番だった。これ以上の難しい話はごめんだとばかり、
「大体わかった、任せとけ。後の誰かに丸投げは、まあ、俺も同じだ。軟弱な怪我人どもに無理させるのもなんだし、それまでは働いてやるよ」
さすがに似合っているフラガナ流の民族衣装と、短い
筋肉で盛り上がった黒い肌が、
エングロッザ王国は、エングロッザ人民共和国になる。黒色人種の
ニジュカを見送って、ルカが鼻を鳴らした。
「軟弱な怪我人、か。言われてるぞ、ザハール」
「あなたの方が重症ですよ。
「最後の最後まで、しぼり出したからだよ! おまえたちのせいだぞ! 三人まとめて、気絶して落っこちて来やがって、俺だってぼろぼろだったんだぞ!」
ルカが、たてがみのような
向かい合ったザハールは、
「それで、どうするんだ? 本当に帰るのか?」
「……同じことを、なぜ聞くのでしょう」
「俺の方が重症だ。
「あきれました。ヒューネリクだけでなく、あなたも相当のお人好しで、ついでに余計な世話焼きですね」
ザハールが苦笑した。
その
「帰りますよ……あなたが、あんまりうるさいので、私もロセリア料理が恋しくなりました。ロセリア連邦からも、特殊情報部コミンテルンからも、とりあえず離れる気はありません。あなたと殺し合う気も、なおさら、ありませんよ」
ゆっくりと
「
ザハールが
ザハールが、変わらない
ルカは
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