12.そんな話もしてないよ!
おでこを押さえて
「ええと……アーリーヤ、なのか……?」
「は、はい。あなたさまは、確か……リヴィオさま。
「いや、そんな体当たりがフラガナ流の
「これは、その、ちょっと感動があふれただけですの」
アーリーヤがなんとか身体を起こすと、のしかかられたような格好になっているレナートが、下から抗議の声を上げた。
「他にもいろいろ、あふれてるよ……! とにかくどいて! 重い……っ」
「レ、レナートさま! 羽根のように、とは申しませんが、わたくしも婦女子としてそれなりに……」
上から抗議を返そうとして、アーリーヤは、さっき忘れた違和感を感じ直した。
金茶色の巻き毛が、自分とレナートを
手足がすらりとのびて、
少し離れた位置で、一人だけまだ座って
「寸法の合った衣服を用意させよう。この時間では、さすがに息子も困るだろう」
「時間の話なんてしてないよ!」
レナートが、なんとかアーリーヤの下から
アーリーヤは、まだ呆然としたまま、とりあえずレナートの上着をかかえて一礼した。
「レナートさまの、お父さまでございましたか。重ね重ね
「そんな話もしてないよ!」
「……ガレアッツオ=フォスカリ、ヴェルナスタ共和国の国家元首、
アーリーヤの目が、ガレアッツオを見て、レナートを見て、リヴィオを見た。
そして長机の上の、豊富に残っている料理に吸い寄せられた。
「もちろん、そちらも落ち着かせてからで、けっこうだ。場を改めよう。まずは若い者同士、
ガレアッツオが、手元の、給仕の呼び鈴を鳴らしてから、もう一度のため息混じりに席を立った。
********************
アーリーヤは
立派な
「どうなってるのかな、これ……リヴィオ?」
「いや、俺じゃなくて、わかるとしたらグリゼルダだろ……こんなの、
右から左に、言葉が泳ぐ。
花のような
「リヴィオ……
「え? ああ、うん」
「この姿も声も、あなたの感覚神経に
「よくわからないけど、そうなのかなあ」
「まあ、同じ
「……悪かったね」
「ゆえに。私という存在は、リヴィオ、あなたと結びついた瞬間が始まりなのです。
「そういう難しいの、
「
氷河のようなグリゼルダの声に、リヴィオが、もんどりうって転がった。
「
「あい、たたたたたたたっ!
リヴィオが、
本来は身体の異常があって発信される感覚信号を、
一心不乱に食欲を満たしていたアーリーヤが、さすがに
「
「最初から、それを言えば済んだよね……」
「異国の殿方と婦女子は、秘めごとも複雑ですの……」
レナートとアーリーヤの
「
「ええと……それが、レナートの聞いた<
どうにかこうにか、という
「さて。その単語自体は、
「よくわからないけれど……出てきたあれは、剣そのものの形だったよ」
レナートのいぶかしげな声を、グリゼルダが鼻で笑った。
「
「そりゃどうも」
自分の
「つまりさ、特別にその、
「当然ですが、確認のしようがないので、そういう
「あ! それならエングロッザ王国にも、神話が伝わっておりますわ!」
ごちゃごちゃした会話の中に、やっとわかる言葉が出てきて、アーリーヤが
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