第14話  柚花と初出勤

映画館での出来事から1日が経ち、僕と柚花は同じバイトになってから初めての出勤となっていた。


「今まで誰かと仕事をすることなかったのでワクワクします!」


バイト先に向けて2人で歩いていると、柚花からそう言われた。


僕の場合はバイト始めた時から美奈が居たので、誰かと一緒とか考えたことがなかった。


「そう言えば僕も身内以外の知り合いと仕事するのは初めてだ。2人ともホールだろうからよろしく」


「こちらこそ!よろしくお願いしますね!先輩!」


「先輩って……間違ってもバイト中呼ばないでよ」


「ふふ、照れちゃって。余裕ができたら言わせてもらいますね」


「本当にやめてくれ。美奈にも絶対バカにされるし……多分」


柚花に冗談を言われつつ話しているといつの間にか二日森喫茶店。

僕たちのバイト先に着いていた。


「そういえばまだ従業員用の入り口知らないよね。こっち」


「あ、そうでしたね。案内よろしくお願いします!」




この二日森喫茶店は飲食店兼住居となっていて、飲食店エリアは平屋、住居側は二階建てとなっていた。


そして、従業員用の入り口は今まで身内しかいない事もあり、住居側の玄関を経由して更衣室に入る事になっていた。


「なんだか、お店の雰囲気と同じで住居の方もレトロな雰囲気ですね。私もいつかこう言った年季の入った家とかに住んでみたいですね」


「え?そうか?住んでみたら住んでみたで不便のところ多いと思うぞ?」


「流石に床が抜けるとかはやめてほしいですね。でも、それ以外ならどうにかなりそうですが……あ、虫は勘弁ですね」


「なら住めやしないな。虫なんてでるのは当たり前だから」


「う〜そうですか……なら外観だけレトロな感じにするでどうでしょうか!!」


「はいはい、もう勝手にしてくださ〜い。はい!ここが更衣室だよ」


そう言って僕は更衣室の扉を開けた。


「きゃ!」


「あ……またやっちゃった」


更衣室ではもう恒例となっている、アンラッキースケベイベントの、美奈のお着替えシーンが公開されていた。


「こら〜凛ちゃんまた着替え中にって……柚花ちゃんだったか。そう言えば今日からだったね」


「はい!美奈さん改めてよろしくお願い致します!」


「本当に礼儀正しい子だよ!凛ちゃんも見習いなよ〜」


美奈のこう言う言い方をするところは僕のお母さんに似ているのかなって思う。


「うるさいな……と言うよりいつまでそんな格好してる訳?早く着替えなよ。僕、今日はリビングで着替えてくるからホール出るまでの流れとか柚花に教えてあげて」


「あら、リビングでなんて珍しいね!わかった。なら柚花ちゃん私が何から何まで教えて上げるからね!!」


「は、はい!お手柔らかにお願いします」


2人の世界に入ってしまい僕のことなんて気にしなくなったので、すぐさま僕は更衣室から出た。


リビングで着替えをしている時、僕は美奈と柚花が仲良くなってくれてよかったと心から思っていた。


もし、これで仲が悪かったりしたら僕はとてもめんどくさい位置に着く事になってしまうから。


それと、シンプルに仲が良い人同士が仲良くなるのは嬉しいのだ。






着替え終わった僕は、更衣室には立ち寄らずにそのままホールへとでる。


既に着替えが終わっていた見たいで、柚花が待っていてくれた。


「ごめんごめん。遅くなったかな」


「遅くなったって、凛くんが着替えに行ってから5分しか経ってないですからね?気にしないでください」


「そっかなら良かった。じゃ〜早速、一から教えていくね」


「はい!よろしくお願いします!!」


柚花の中では、未だにそのノリは続いていたみたいだ。


「とりあえず次それ言ったら1週間は柚花がご飯を作って事で!」


「なっ……そんなのずるいですよ」


「あはは、なら言わないことだな」


2人で冗談を言い合ってから、僕はホールでの仕事について柚花に教え始めるのだった。



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14話読んで頂きありがとうございます!


私も誰か友達と一緒に高校時代バイトしてみたかったな、、、


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