第37話 夏休み (5)
「あの〜ここって……」
「そう!!滝下橋!恋の橋めぐりの1箇所目ですよ!」
行く途中からなんとなくわかってはいたけど、柚花が行きたいと言っていたのはここだったみたいだ。
恋の橋めぐり……桂川にかかる五つの橋を全て渡ると恋が実ると言われている。
実際は一連の流れがあり、それぞれの橋に恋にまつわるご利益があるとされ、五つの橋を渡り指月殿にて「お伺い石」を願いを込めて持ち上げ、軽いと感じたら願いが叶うとされている。
もちろん重いと感じたからダメというわけではなく、重いと感じた場合は祈願をすれば叶うととか叶わないとか……。
僕もここ修繕寺に行く際、ここのことは調べていたのでもちろん知っている。
行こうかと迷ったが、あからさまに好きと言うのがわかってしまっため候補から外した場所であった、
…………ってことはさっき確信ついた柚花の気持ちというのは正解ということでいいみたいだ。
僕らもいつのまにかお互いのことを必要と思うようになっていたんだな……。
「なら、ここを渡ってあと四箇所行かないとな!」
「?!?!……知ってるんだね、凛くんも」
「ま、まーね……調べてたし……」
「そ、そうなんだね……」
少しだけ恥ずかしいやら、気まずいやらの空気が流れる。
柚花も気が付いたのだろう。
僕が、柚花とこういうところに来たいと思っていると言うことを……。
そして、僕が柚花に対してどのような気持ちを抱いているのかを……。
「そうなんだ……よかった。凛くんも私と同じだったんだね……」
柚花の呟きがこの距離で聞こえない訳がなく、本当の意味でお互いがお互いを思っているのだと僕達は理解した。
「あ、あのさ柚花」
「は、はい。あ、何?凛くん」
お互いに目線が絡み合う。
このまま言ってしまおうと思った。この勢いに任せて仕舞えば、願いも叶うし、苦労もしないだろうからと……。
だが、これでいいのかと疑問にも思う。
これまで積み上げてきた2人の関係に、僕は変化を起こそうとしているのだ。
そんな大事な瞬間を勢い任せでいいのだろうか。
………………よくないな、今じゃない。
結論はすぐに出た。
「あの……今日の夜大事な話がしたいから、ご飯食べたあと少し話す時間が欲しい」
どっちみち同じ部屋なんだし、その時になったら話せばいいと思うが、それだと僕自身が逃げてしまう気がして嫌だった。
逃げてしまわないため、ケジメのため、僕は柚花に話す時間を欲しいと伝える事に。
「うん……わかった。でも無理しないでいいからね?私はいつまでも待ってるから……」
「いや、今日言うよ。僕自身これ以上我慢できないから」
「ふふ、確かに、私もこれ以上は我慢できないです!でも、今は恋めぐり楽しみましょうね♡」
そう言って、柚花が腕を絡めてきた。
まさかこの距離感で柚花と歩く日が来るとは……。
いい香りがするし、む、胸があたっておいでです。
柚花の胸は推定でEはあると見ている。
柚花と毎日一緒にいるため、柚花のガードが甘い時があり、その際に胸の谷間が見えてしまう時があるのだ。谷間ができる……それだけで、なんとなく大きさがわかった。
さらには、僕も男だ……そう言う時に目が向いてしまうのは仕方がないことだと思う。
そう思うだろ?男諸君!
「凛くん……見るのはしょうがないけど、少しぐらいは遠慮してよね。なんと言うけど、流石にそんな見られたら私でも恥ずかしいから」
はてさて?いったい柚花はなんの話をしているのやら。
「ん?何を言っているんだい柚花さん。僕は何も見ていないし、何も堪能なんかしていませんよ?」
「凛くん……私、堪能しているなんて言ってないからね?とりあえず、周りに人がいるんだからそんな見続けることはやめて!でないと、もう腕も絡めないし、手も繋がないから!」
「ごめんごめん。わかったから!このままでお願いします」
「ふんっ!!!」
怒りながらも、柚花は決してその腕を、手を離そうとはしない。
僕もそれを理解しているが、どうにかして頭の中の大半を占めているエッチ〜なことを隅へと追いやり、柚花とのデートに集中する事に成功した。
今日の夜の告白がうまくいけばこれから柚花に何をしても合法となるのだから我慢しよう。
もちろん、付き合ったから何かするとかそんな勇気僕にはないし、あったとしても流石に順序を吹き飛ばした行動をしたりなど絶対にするつもりはない!
「なんか恋の橋めぐりとして橋を渡ると言うのが目的で気が付きづらいのかもしれないけど、普通に自然を感じられていいところだよね。川も綺麗だし」
「そう!そうなの!!さすが凛くん!恋の橋めぐりもひとつの目的だったけど、写真で見た景色が綺麗だったからっていうのもここを選んだ理由の一つなんだ!それを凛くんにわかってもらえたのはすごい嬉しい!ありがとう!!」
相当嬉しいのか、ピョンピョンと跳ねながら柚花は喜ぶ。その際に当然柚花に追従する様に2つの山も動く。
…………当たっていますよ柚花さん。さっき頑張って頭の隅に追いやったんですから蘇らせないでください。
と思いつつも、やっぱり僕も男の子。チラッと、チラッとだ!チラッとだけ見てしまった。
そこでわかったことなのだが、僕は小さいものより大きいものの方が好きみたいだ。小さいのも大きいのも本物を見たことはない。だからなんとも言えないが、気持ちの昂りからなんとなく僕は大きい方が好きだと思ったけれど。
………あ、何がとは言わない。男なら察してくれ!
その後も、自然を楽しみつつ、恋の橋めぐりをし、ちょうど良い時間となったため旅館へ向かう事にした。
刻一刻と迫る告白に緊張をしている僕だが、楽しみでもあった。
ちなみに、石を持ってみたが素直に軽いと感じた。柚花の方も軽いと感じたらしく、神様は僕達のことを応援してくれているみたいだ。
改めて僕は、頑張ろうと思うのであった。
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37話読んで頂きありがとうございます。
次はもちろん告白です。どんな告白をしどんな返事をするのでしょうね。お楽しみに。
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