第18話 体育祭 その2
『あ、あ、30分後に開会式を開始致します。南海高校、南美高校の皆様は各自、所定の場所からパイプ椅子を持ちグラウンドの持ち場に着いてください』
アナウンスが流れたので水筒だけ持って僕は教室を出た。
こういう時の男子はとても行動が早い。
早くグラウンドに行けばその分早く女子に会えるからだろう。
柚花が男子を嫌うのもわかる気がする。
餌に群がる鯉の様に、いやこの表現だとまだ美しいとすら思ってしまうが……これ以上考えるのはやめておこう。
グラウンドに行くと開始30分前なのにもう南美高校の人たちは集まりつつあった。
「女子も女子で鯉だったか……」
そんなことを言っていると、
「何を独り言言っているんですか?」
後ろから聞き慣れた声がして僕は思わず振り返った。
「柚花か……って声かけてよかったの?」
僕もだけど柚花は特に周りの目を気にしていた様な気がするから心配になってしまう。
「周りの友達から聞いたのですが南美高校には伝統があって、一回の行事につき1人しか連絡先を交換してはならないと言うルールがあるみたいなんです」
とんでもない事を聞いてしまった気がする……。
「そ、そうなんだ。それで僕と言うことかな?」
「そうですよ。凛くん以外に連絡先をあげる気なんてありませんからね。その様子だとそちらにはその様なルールはないのですか?」
「そうだね……いや、知らないだけかもしれない」
知らないと言ったけど多分そんなルールはないだろう。
男子にはデメリットなのだから。
僕からしたらメリットなの?かもしれないけど。
「今年は同じ色なので場所は隣同士ですね」
「柚花も5.6組だったんだな」
「あれ?言ってませんでしたっけ?」
「言ってないな。僕も言ってないけど。まぁ、よろしく」
色分けとしては、1年生から3年生までどちらの学校もクラスは6クラスとなっていて、
1.2組が赤団 3.4組が青団 5.6組が黄団となっている。
体育祭当日には、各団色のTシャツと鉢巻が配られのでパッと見ただけで見極めることができる。
一緒に話しながら所定の位置に向かう。
やっぱり柚花は目立つのか、一緒にいるだけで僕の方に嫉妬などいろんな感情が含まれる視線が飛んでくる。
あ〜痛い痛い。
1人が好きな僕からしてみたらこの視線はとても痛い。
痛いが、この痛さで少しでも柚花が声をかけられなくなり、連絡先などを断れる口実を作れると言うなら、日頃お世話になっているし良しとするかな、と言うところが僕が導き出した今日の在り方である。
「凛くんでも抑止力にはなるんですね。ふふ」
なんて事を言いやがるんだこの柚花と言うお方は。
ここは普通「守ってくれてありがとうそのかわり夜ご飯作るね?だろ」いやそれはおかしいか……
「まーこれからとても、とても活躍して頂くのでこれくらいはさせて頂きますよ」
プレッシャーだけはかけておく。
「あ、そうやってプレッシャー掛けようとしてもダメですからね!私には聞きません」
うまく利用されてるだけなんだな僕は……あからさまに肩を落としてみた。
「え、そんなに抑止力って言われたこと落ち込みましたか……ごめんなさい言いすぎました」
ほら、こうやってすぐに謝ってくれる。
いつか詐欺にあったりしないか心配であるな。
「ん??全く気にしてないけどそんなこと」
「む〜〜もう、凛くんなんか嫌いです」
「「…………ふふっ」」
気付いたら周りにいた女子からも僕たちは見られていた。
確かに気にはなるだろうな。
側から見たら、まだ僕たちは会って5分くらいしか経っていないのだから。
さらに、冗談を言い合うぐらい仲良く話しているのだから……。
家の様な仲を外で見せることは良くないと僕は学んだのだった……。
2人して少しやりすぎてしまったなと反省していると「柚〜〜」と言って柚花の友達??と思われる人物がこちらに走ってきた。
「もう〜先に行くなんてひどいよ……こちらの人は?」
着くなりそうそう僕のことを誰だと聞くこの女の子はとにかく情報量が多かった。
髪に毛は薄い桃色で、背は柚花よりも少し高いかなってぐらい。
ちなみに僕が175cmで柚花が165cmである。
何より……この子は胸がデカかった。
とりあえずアニメで巨乳キャラとして出れるくらいデカく立派なものを二つブランとぶら下げていた。
どんな成長をしたらこんなに大きくなるのだろうか。
もしかしたら、柚花の周りにはこの様な個性的になキャラしか居ないのかもしれないな……。
人知れず僕はそう思うのだった。
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18話読んで頂きありがとうございます!
大変長らくお待たせ致しました。
やっと風邪が治りまして更新できたと言った形です。
長い期間更新出来ず申し訳ありませんでした。
なんか情報量多いキャラが出てきましたね。
柚ちゃん、ちゃんと友達が居たみたいでよかったです。
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