第25話 初めての朝
腰と肩に痛みを感じ目が覚めた僕は、肩の痛みの原因を知り驚いた――というか、焦った。
なぜなら、僕の肩に柚花が頭を乗せ、スースーと寝息を立てながら寝ているからだ。
必死に昨日のことを思い出す。
……確か昨日は二人でアニメを見ようとして――あ、寝てしまったのか。
全ての元凶はこの毛布だな。こいつが暖か過ぎるのがいけないのだ。
僕は少し戸惑ったが、誤解をされたくないし柚花を起こすことにした。
「おい、柚花、起きろ」
優しく肩あたりを揺するも全く起きる気配がない。
「柚花、起きろって」
先程よりも強く揺すると柚花が起き上がった。
だが、寝ぼけているのか、「凛くん〜〜」とだけ呟いて今度は僕の太ももに頭を乗せて寝てしまった。
膝枕とでも言うのかその体勢は、今の僕には非常に危ないものだった。
男なら誰しもわかるだろう。朝の息子がどうなっているかなんて……。
それから何度揺すっても柚花が起きることはなかった。
どうすることもできない僕はとりあえず、自分の頭に情報を入れないため目を瞑るも、変なことを想像してしまうのとトイレに行きたいと言う思いがごちゃ混ぜになり余計に大変な思いをするのであった。
1時間ほどが経つと急に柚花が起き上がったと同時にスマホのアラームが鳴った。時間を確認すると6時だった。
……柚花も6時に起きてるのか、と言うかこんなに素直に起きるならさっき起こした時起きてくれよ。
「おはよう柚花」
「あ、凛くん、おはようございま…………すって、ど、どうして凛くんがここにいるんですか」
はぁ〜やっぱりそうなるよな。
「先に言っておくが、俺が柚花の家にいるわけではないからな」
「え、本当だ……確か昨日は……アニメ見る前に寝てしまったみたいですね」
やっと理解が追いついて来たみたいだ。
「凛くんはいつから起きてたんですか?」
「1時間前くらいかな……何度も起こしたんだけど起きてくれないし、挙句の果てに膝を枕にされてしまったよ」
「そうですか……ってえ??膝枕させてたんですか私。本当にごめんなさい。と言うか……何か言ったりしてませんでしたか?」
膝枕のことは言わない方が良かったかもしれないな。
「大丈夫だよ、疲れていたみたいだしね。ん〜何も言ってなかったと思うよ」
「そうですか……」
「気にしなくていいよ。僕だって一緒に寝ちゃったみたいだし……とりあえずご飯でも食べる?」
「そうですね。昨日の夜ご飯で食材ほとんど無くなっていたと思うので、私の家から持って来ますね」
「う、うん、わかった」
とりあえず、何も問題はなく??やり過ごすことはできた……。
膝枕をしている間にも柚葉が寝言で僕の名前を読んだこと、少しだけほっぺを触ってしまったことは内緒にしておこうと思う。
……しょうがないじゃないか、ツンツンしたくなってしまったんだ。
柚花が戻ってくる前に気持ちを戻しておこうと思う。
―――――――――――――――
「あぁーーーーーーーーーーーーーーーー私のバカぁーーーーーーーーーー」
自室の枕に顔を付けて叫ぶ私。
まさか、男子の家で寝てしまうなんて……。
昨日の体育祭で疲れていたのは認めますが、そこまで疲れていたとは思ってもいませんでした。
別に凛くんのことは心配していませんし、襲われることもないとは思っています。と言うか私が嫌がることはしないでしょう。優しいですから。
ツンツンはされましたけどね……。
された時はビックリしましたが、手付きから優しさが滲み出ていて、何も抵抗はしませんでした。
そう、実は起きる30分前から私は起きていたのです。
恥ずかしいことに自分の寝言で起きたんです。凛くんは何も言っていないって言ってくれましたけど、私自身が聞いてしまったのでね、自分の寝言を……凛くんと言ってしまったことを。
それよりも、やっぱり私の中で、凛くんだけは他の男子とは違い、特別だと思いました。
頬を触られたとしても、嫌だと思わない。いや、むしろ安心感、気持ち良さまで感じてしまいました。
特に膝枕……私、枕は決まったものじゃないと寝れないはずなんですけどね。
案外、また寝たいと思っている私がいることにビックリしています。
気付いたら凛くんの家を後にしてから20分も経っていました。
「早く戻らなきゃ……」
気持ちを落ち着かせて、食材を持ち私は凛くんの家に向かいました。
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