第26話 友達の訪問にて
柚花が食材を持ってきてくれたのは、僕の家を出て行ってから20分ほど経った後だった。
二人で朝ごはんを作り、今は一緒に食べている。
「そう言えば今日何かあるって言ってなかった?」
昨日の夜、柚花から昼は一緒に食べれないと伝えられていた。
「あ……そうでした。今日私の家にさくが来るんですよ」
「桃崎さんが……」
嫌な予感しかしなかった。
「ふふ、嫌そうですね」
「まーね、昨日の今日だし、桃崎さんだけ知ってからね、僕と柚花のこと」
「確かに……凛くんの家に行きたいとか言いそうです。その時はしかないので一緒にお昼食べませんか?」
別に嫌なわけではない。毎日柚花が来てるから、家の中は綺麗。見られてはいけない物もスマホの中にしかない。
……断る理由は無そうだ。
「その時はいいよ。それなら食材買いに行かないといけないよね?」
「いや、元々私の家でお昼ご飯を食べる予定で食材買いに行きますんで、凛くんの家に行きたいと言われた場合はそちらを持ち込みますよ。あ、でも夜ご飯の食材はないですね……」
確かに……いつも2人で何を作るか決めながら買い物をするから、僕1人じゃ辛いかも。
バランスとかを考えるのは、断然柚花の方ができる。
「柚花的に、何パーぐらいの確率で僕のところ来ると思う?」
他の人が聞いたら意味深に捉えられそうな質問だった。
「そうですね……最低でも90パーかと」
何が最低だよ――もう確チャンじゃん!!
「なら、あえて2人で迎えに行こうよ。そのついでに夜ご飯を買って」
「あ〜そうしますか。さくが文句言ってもそうしましょう!」
という事で、2人で桃崎さんさんを迎えに行かことにした。
「お〜〜〜い!ゆっ………………ず??なんで岡くんもいる訳?」
駅まで行くと、とても立派なものを揺らしながら手を振っている桃崎さんが居た。揺れていた……何がとは言わない。
嬉しいそうな桃崎さんは、僕が居ると分かり次第あからさまに顔を暗くした。
「柚花……もしかして嫌がられてる?」
「いえ、嘘ですよあれは……さく、そう言う嫌そうな演技いらないから」
なんだよ!嫌がる演技かよ!性格悪すぎるぞ。
「あれ?バレちゃった??岡くん来ること知ってたし、嫌がる理由もないよね……あはは」
あまり人とのコミュニケーションが慣れているわけじゃないから正直やめてほしいよね……本当に!
「嫌がられてないなら、なんでもいいよ」
「なんだよ〜素っ気ないな!ツンツン!!」
「さく!「桃崎さん!ツンツンしないで!!」」
今日の朝のこともあり、ツンツンに反応しちゃったけど、今柚花もやめてって言っていたような気が……気のせいか。
「ご、ごめん……え、ツンツンで何かあった?」
「「ないから!」」
「絶対あるじゃん!?!?」
朝のことを聞かれたりする前に僕と柚花はスーパーに向かうことにした。
何度も聞いてくる桃崎さんを無視しながら……。
現在……僕の家にて桃崎さんは拗ねている。
ソファーの端っこで体育座りをしているのだが、その姿が何とも言えない雰囲気を出している。
「桃崎さん拗ねちゃったけど大丈夫かな?」
「大丈夫。どうせあれも演技だから――ね、さく」
「む〜今日のゆずちょっと意地悪だよ」
本当に演技だった……。
桃崎さんのことを簡単に信じるのは良くないかもしれない。
昼ごはんはたこ焼きをやると決めていたらしく、手際よく柚花がたこ焼きの元を家庭専用のたこ焼きに流していく。
10分もしない内に、皿に盛られていくたこ焼き。
女子が作るたこ焼きにはタコだけでは収まりきらないらしい。チーズやウインナーチョコレートまで入れている。
……チョコだけは食べたくないな。
爪楊枝を使い刺していく中、桃崎さんが僕たちに質問をした。
「半同棲みたいになったのはわかったし、仲良いのもわかったけど、そもそもなんでこんなことになったの?」
疑問に思うのも当たり前だと思った。普通、お隣同士でもここまでは仲良くならないだろうから……。
質問され、目を合わせる僕と柚花。目だけで伝えるか伝えないかのアイコンタクトをする。
正直僕は伝えていいと思った。
柚花も同じ意見だったようで、友達になった時のことから話し始めた。
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