第24話 体育祭 その後
体育祭が終わり、家に帰ってきた僕と柚花はお風呂に入ってから合流する流れになった。
「あぁ〜〜〜〜」
湯船に入り、お湯が溢れる中、疲れ切った声を出すのがとても気持ち良い。
1日の疲れが溢れるお湯と共に流れていく気がするからだ……。
結局、あの後はリレーも勝利することができた黄団は見事、優勝することができた――だが、優勝出来たのは学年別総合優勝で団としての総合優勝は2位と言う結果だった。
それでも、今日の体育祭は1人が好きな僕でも楽しかったと言えるだろう。
心境も柚花と関わることで変わりつつあるのかもしれない。
お風呂から出た僕は、昨日のうちに買っておいた食材でご飯を作り始めた。
柚花は今日1日頑張っていたし、活躍もしていた――ご褒美をあげるとしよう。
作り始めてから少し経った頃、柚花が家に入ってきた。
「あ、もう作ってくれていましたか……ありがとうございます」
「もともと僕が作る予定だったし」
「そう……ですね。でも手伝いますよ」
そう言って僕の隣に来て調理を始める柚花。
お風呂に入ったばかりだからか、いつもより良い香りがする――それが妙に魅力的で思わずドキッとしてしまった。
……どうしよう、いつもと変わらないはずなのに。
もしかしたら、今回の体育祭でとんでもない事に気がついてしまったのかもしれない。
独占欲……独り占めしたいと言う要求を現す言葉。
こんなの僕が柚花を好きだと言っているみたいではないか――僕はただこの日常を誰かに取られたくないと思っているだけ。
決して柚花のことを異性として好きとかではないのだ……多分。
言い聞かせているみたいで嫌だが、柚花のことが好きかと聞かれたら自信を持って好きだと言えないし、もし好きだとしても男嫌いである柚花に知られたりしたら、この生活なんて即破綻だ。
それだけは絶対に避けなくてはいけない。
―――――――――――――――
体育祭が終わり、凛くんと夜ご飯を作っています。
ですが……全く集中できません。
体育祭の時、私に芽生えてしまった感情が集中力を阻害するのです。
嫉妬……人の愛情が他に向けられているのを憎むことを言う。
凛くんが桃崎さんと話している時私は嫉妬をしました。
クラスの男子と凛くんが喜んでいるところを見てまたもや私は嫉妬をしました。
一回だけならまだなんとか言い訳出来たと思いますが、二回となるとそうはいきません。
認めるしか無さそうです。
私は少なからず凛くんのことを好んでいる。
この気持ちが友達としてではないのは分かっていますが、異性として好きなのかと聞かれると答えに困ります。
だって、異性を好きになったことなんて一度もないですから……。
もしかしたら気の迷いかもしれませんし、これから少しずつ自分の気持ちを確かめていきたいと思います。
「柚花、いつまでそれやるの?涙止まらないんだけど……」
横から凛くんが話しかけて来ました。
急に声をかけるのはやめてください――ドキッとしてしまいます。
ん、涙が止まらない??そう言えば私も涙が…………あ、
「あーー!!どうしよう凛くん玉ねぎ剥きすぎちゃった……」
これは気の迷いでもなんでもないですね、こんなになるまで凛くんのことを考えて、ボーとしてしまったんです。
私は凛くんのことを好きになり始めてしまったみたいですね。
これから、朝ごはんも一緒に食べることになっています。
…………本当に大丈夫でしょうか。
―――――――――――――――
…………グハァ!!
いつも敬語の柚花が突然フレンドリーに会話をしてきた――それだけでも心臓に悪いと言うのに、柚花を見ると玉ねぎで涙を流しながら珍しくオドオドしているのだ。
ギャップ萌えが…………これは重症なのかもしれない。
どうにかドキドキしながらも夜ご飯を作り終えた僕と柚花はテレビを見ながらご飯を食べ、23時から放送するアニメに向けて、ソファーでゆっくりすることになった。
体を冷やしてはいけないので毛布を被りながら……。
毛布を被ったこと――これがいけなかったと知ったのは次の日の朝になってからだった。
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24話読んで頂きありがとうございます!
これにて体育祭編は終了です!
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