第35話 夏休み (3)
ついに、この日がやって来た。
いつもより1時間早く起きた僕は、旅行の準備を早々と終わらせ、いつ柚花が来ても良いように朝ごはんまで作って準備をした。
……本当は楽しみすぎてジッとしていられなかっただけなんだけどね。
暑さも本格的になって来て、気温も最高気温の36°とニュースで言っていた。
……駅までの間とあっちに着いてから旅館までの距離しか外にいないけど、熱中症には気をつけないと。
ちなみに今日の僕のジーパンにシャツとラフな格好ではあるが、シンプルな感じが好きなのでお気に入りのコーデ。
お気に入りのコーデと言っても誰かに見られることを想定して着てこなかった僕は、この日のためにわざわざ買いに行った。
柚花にはこの日まで見られたくなかったので、買い物に一人で行ってくると言ったところ、「他の女ですか?」と真顔で言われてしまった……。
あれ?
今思えば、あれって恋人同士のセリフだよね??
ん?
まだ僕たち付き合ってないよね?
「私たちもう恋人でしょ?」って言う、いつのまにか付き合ってるパターンじゃないよね?
そんな、外国でありそうな恋人スタートとか嫌だからね?
流石に僕の方から告白して、OKもらって付き合いたいからね?
とか思いつつ、この日までバレることなくできたことに僕は喜んでいた。
今回の旅行は美奈の気遣い?お節介によって生まれたもので、チケットの名前を見ればわかる通り、ペアチケットである。
ここまで言えばわかるだろうか……僕はまだ付き合ってもいない女子と同じ部屋で寝泊まりすることになるのだ。
確かに、一度だけ柚花が僕の家に泊まったことはある。あるけれども、泊まることを前提にして泊まっていないこともあり、今回は緊張していた。
といっても、夜に襲おうとか1ミリも思ってないからね。
そんな馬鹿なこと絶対しないよ。そのために昨日のうちに一人で発散したんだから!しかも一回回数多めにして!!
と、その時だった肩辺りをトントンとされ僕は振り返った。
「おはようございます!凛くん!びっくりしました??」
そこにはめちゃめちゃニコニコした悪い顔の柚花が立っていた。
たまに悪戯をする時があるのだが、今ではないだろう……今では。
「おはよう」と柚花に言いかけた時に改めて僕は柚花のことを見たのだが、
「可愛い……………………あっ」
思わず声を出してしまったことに僕は気づいた。
二人の動きが止まる。
リビングに置いてある時計の針の音がだけが聞こえて来た。
完全に失言だと思った。
やってしまった、どうしようか考え始めようとした時だった。
「あ、え……可愛い……」
柚花から声がして、顔を見ると、顔が赤くなっていくのがわかった。
……いや、赤くなりすぎじゃない?大丈夫?
「いや……ごめ……」
「う、嬉しいです!!凛くんも……その……カッコいいです!」
ウバァッ……僕は心に大ダメージを受けたのであった。
朝から褒め合い、色んな意味で心にダメージを負った僕たちは朝ごはんにて回復を行い、旅館に向けて家を出発した。
その上でまた言わせてもらおう。今日の柚花の格好はシンプルでとても!重要だからもう一度、とても可愛い!。
白のブラウスに黒のショートパンツ。これだけでも可愛いのに、ブラウスから少しだけ透けて見える茶色のブラトップという物をつけている。
男ならわかるだろう。
この、少しだけ透けて見える物の破壊力が……。
そう、スカートの中のパンツが見えるか見えないかの瀬戸際なのがいいみたいに。
大きめのシャツを着て、その下がショートズボンなのかパンツなのかわからないエロいのがいいみたいに。
毎回助けているわけではなく、タイミングがいい時でないと透けないと言うのがなんともいいのだ。
最初は、え??ブラ透けてない?って思ってけど、柚花から、これはブラトップと言うちゃんとしたアイテムだと教えてもらった。
……そんな僕、柚花のそれ見てたかな。
いかんいかん、話を戻そう。
頭には麦わら帽子風のやつを被っている。
完全に夏バージョンの柚花である。
いや……可愛すぎるだろ。
最近、派手な服とか着てる人を街でよく見かけるけども、やっぱりシンプルな色・デザインの服を着こなせる人が一番かっこいいし、可愛いと僕は思う。
自分が好きになった人がここまで可愛いと、逆に自信がなくなってくるのだが、ここまで一緒に居てくれてる柚花に対してそんなことを思うのは失礼であるし、そんなんで怖気付いているのは情けないと思う僕がいるため、どうにか心を保つことができていた。
取り敢えず柚花は可愛い……何度も何度も申し訳ない。だが、もう一度だけ、いつも可愛いが今日は一段と可愛い!!
―――――――――
「可愛い……」「可愛い……」「可愛い……」
私の頭の中では、先程凛くんから言われた言葉がループしています。
別に、初めて言われたわけではないのに……。
何人もの人から言われてきた言葉なのに……。
それなのに、凛くんの思わず出てしまったであろう、可愛いと言う言葉がいつまでも私の頭に残っていました。
やっぱり凛くんは私にとって特別な存在なんだと改めて思う瞬間でした。それと同時になんだか嬉しくなります。
同じ言葉が、言う人によって違う。
そんなの迷信だと思っていました。
愛と言うものに飢えた人の戯言だと……。
ですが、実際その人たちの立場になってみると何が言いたかったのかよくわかる気がします。
まぁ、これから楽しい楽しい旅行なので、深く考えたりはしません。
目一杯アピールして、目一杯楽しもうと思います。
……あぁ〜今日の凛くんは一段とカッコいい!
……大好き、(心の中でも小声)
_________________________________________
35話読んで頂きありがとうございます!
次から本格的に旅館デートです。
柚花が何かしらアピールするみたいですが、どんなことをするのでしょうかね。
まだ私にもわかりません笑笑
よかったら、コメント、応援、小説のフォロー、レビューお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます