第34話  夏休み (2)


「どうする?柚花」


「そうですね……美奈さんも私たちのことを思ってしてくれたことだから、断りずらいですよね」


「そうなんだよな。最初は冗談かと思ったんだけど本気だったし」


「「はぁ…………」」


 僕たちは何度目かわからないため息を吐きながら、机の上に置かられている、2枚のチケットを眺めていた。







 正直なことを言おう、本当は柚花と行きたい。ものすごく行きたい。同じ部屋に泊まるのはハードル高いけど、柚花と温泉の旅はしてみたいと思っていたし、夏の思い出としてはとても良いものになる。


 そもそも柚花は僕の好きな人だ。どこか行けると言うなら行きたいと思うのは当たり前だろう。


 とは言っても、そんながっつく勇気もないし、言葉にだって出せない。簡単に誘うことができない自分の愚かさと、どうやってうまく誘うかを帰って来てからずっと考えていた。





 ――――――――――――


 今日は良いことがありました。


 なんと、バイトの先輩である美奈さんから温泉旅行をプレゼントしてもらえたのです。


 あ……もちろん、凛くんの前で喜んだりはしませんよ??


 心の中で富士山に届けと思わんばかりに叫んで起きました!!


 美奈さん!!ナイス!!




 正直な話をします。

 私は凛くんのことが好きです。


 もちろんlikeではありません!

 ラブです!いや、LOVEです!!


 やっぱり好きになった理由と言えば、映画を一緒に見るようになったことだと思っています。


 私の1番大切な趣味をもっと大切にしてくれた存在。

 入ることのできなかった1人映画鑑賞と言う空間に凛くんは入ってくれて、1人では体験できなかったであろうことを体験させてくれました。それだけでも、私にとっては大きく、好きになるには十分な理由でした。


 他の人からしてみたら、そんな理由で?とか思うかもしれないですが、私にとってはが幸せなのです。






 はい!!ここまでとても良い話だったと思います!!私自身そう思いますからね!ですが、ここからが問題です。

 どうやって恋人になれば良いんでしょうか……。


 告白すればいいだろうって??そんな簡単に言わないでください。


 …………もし振られた挙句、この関係が終わりを迎えてしまったどうするんですか。

 寂しいですし、私は絶対に嫌です!!




 あと…………やっぱり告白は好きな人からされたい……ですし、夜2人で綺麗な星を見ながら膝をついて告白とかされたい……です……。





 そんなこんなでどうしたらいいかわからなくなっていました。



 と言うか、凛くんは私のことどう思っているでしょうか??


 少なからず、嫌われていると言うことはない筈です。

 嫌いな人とここまで一緒にいるわけないですから。


 どっちかと言うと私に好意を寄せていると思っています!もしそうなら相思相愛!両思いですね!


 特に最近は、顔を赤くすることも多いし、私の顔を、ジッと見てくる時だってあります……案外恥ずかしいんですよ??恥ずかしいんですけど、凛くんに見られるのは嫌じゃないので見終わるまで見せています……。



 とりあえず、今回は凛くんがどう思っているのかを確かめるためにも、旅行に行きたい!なので、私が一肌脱ぎましょう!!



「あの……凛くん?せっかく美奈さんからもらったんですし、行きませんか??温泉旅行??」


 すると、凛くんはわざとらしく、わざとらしくですよ!!←ここ、重要です!

 柚花がそう言うならそうするか見たいな態度で、「そうだね、せっかくもらったし」と言ってきた。


 全く……私にはバレバレですからね!勇気を出しなさい、凛くん!


 もし違う機会があったら、凛くんが何かしてくれるまで次は待とうと思います!





 行くと決まったからには思う存分楽しまなくてはいけません!

 初めて好きになった人と初めてと言えるかわからないけどデート!初めての温泉旅行!初めてがいっぱいで何が起こるかも想像できないけど、私はとても楽しみです!!




 私はその日から、旅行に向けて色んな方面の準備をするのであった。



 ―――――――――


 一方、凛の心の中では、





 …………しくじった…………僕から誘おうと思ったのに……。


 一瞬柚花から、はぁー誘われるの待ってたのにな〜みたいな顔をされた気がした。


 カッコ悪いところ見せちゃったな……これは、旅行で挽回するしかない!

 絶対柚花に楽しんでもらおう!!



 そう、心の中で闘志を燃やしながら、凛は叫んでいた。


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34話読んで頂きありがとうございます!!


遅くなりました!すいません。


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