第15話  凛くんに感謝

 今日は新しく始めたアルバイトの出勤日です。


 今は凛くんにホールの仕事を教えてもらっています。


「まず、注文の取り方なんだけど、機械とかないからメモに注文を書いてもらうことになっているんだ」


 こう言うところも昔な感じで新鮮です。


「はい。では、メニュー全て覚える感じですか?」


「いや、一文一句覚える必要はないよ。厨房に伝える時にちゃんと伝わればメモには略語とかでいいし」


 そこは自分のやりやすいようにと言うことなんですね。


「分かりました。接客とかで気をつけた方がいいとかってありますか?」


「ん〜特にないと思うな。柚花は礼儀とかもしっかりしてるし、いつも通りでいいと思う」


「わ、分かりました。あとはやりながらって感じですね」


「そうだね。今日は僕と一緒になるけど、よろしくね」


 凛くんとやるのであれば私は安心しかありません。


「こちらこそよろしくお願いします」






 ホールの仕事はそれほど難しくありませんでした。

 お客様がばらついたタイミングで来店することも理由の一つだとは思います。


「結構余裕そうだね」


 実際、私はかなり余裕がありました。


「そうですね……いつもこんな感じなのですか?」


 この程度と言ってはなんですが、これぐらいなら凛くん、美奈さんでどうにかなる気がするのですが……


「いや、これからだよ……特に今日は」


「そ、そうなんですか……」


 少しだけ凛くんの顔が引き攣っていたので、この後なんかしらで忙しくなるみたいですね。





 1時間後ほど経ちました。


 私は先程の余裕ぶっていた自分に気を抜くなと言ってあげたいです。

 なぜなら、一度に20人の団体が押し寄せたから。

 最初きた時、びっくりして思わず「え?」と声に出してしまいましたし……


 この人数、私に付ききっきりは無理だったみたいで今は1人で注文を取っています。

 私が注文を1人取り終えると、凛くんと美奈さんは3人目の注文に入っていました。

 流石としか言えませんね。


「あら、新人さん??可愛いわね」


 やっと2人目に入った私にお客様から声をかけられました。

 話しかけられること自体は前のアルバイト中にもあったので慣れています。


「そうです。今日からここで働かせて頂いております」


「そう〜、いつも美奈ちゃんも凛ちゃんしか居なくて忙しそうだったから1人増えると楽になるかもね〜」


 この発言からここの常連さんと言うことがわかりました。

 毎週この日はこの人数と言う情報が私の頭の中にインプットされていきます。




 そんなことより、お店の雰囲気がどうも喫茶店より居酒屋感があるなと感じてしまいます。


 この間ここを訪れた時は落ち着きのある喫茶店だったのですが……

 実際、今もお酒などは頼まれていないので喫茶店と言うことは間違いないと思います。


「すいません。これって何のお集まりなんですか?」


 話しかけてくれていたこともあり、私は質問をしました。


「あぁ〜これはヨガ仲間の集まりなの。そしてね、ここにいる人たちはみんなお酒が飲めなくてね、遅くまでやってくれているこの喫茶店が私達にはぴったりだったと言うわけ」


「そうなんですか、確かにこの時間帯までやってる喫茶店は珍しい気がします」


「でしょでしょ、だから私たちは毎週ヨガに行く帰りは寄らせて頂いているのよ。火曜と木曜にね」


 うわぁ……余計な情報も聞いてしまった。

 この忙しい日が週に2回もあるみたいなのです。

 私の頭の中で上書き保存が実行され………………今、完了しました。

 そんなことを思っていると、後ろから頭をコツンっと叩かれました。


「柚花?何、油売ってるわけ??忙しいんだけど?」


 笑ってはいない笑顔で凛くんから指摘されてしまいました。


「あらあら凛ちゃん怖い顔しちゃって。新人さんいじめちゃだめよ。それより柚花って名前なのね可愛い」


 すかさず常連さんがフォローしてくれます。

 これはありがたいです。


「そうやって甘やかさないでくださいよー。いつもは美奈を捕まえるし、少しは僕の気持ち考えてくださいね」


「はーい。じゃあ柚ちゃんでいいかしら。お仕事頑張ってね!」


「はい!ありがとうございます!」


 お客様も優しいですし、私はこのバイトにして正解だったかもしれません。

 誘ってくれた凛くんに感謝です。




 そのあとは仕事が終わるまでひたすら忙しい時間を過ごしました。

 凛くんと一緒に仕事をしたり、美奈さんと少しの間で話したり、お客さんと話したりと忙しい中に楽しいが詰まっていて私はとても有意義な時間を過ごせたと思います。


 また明日の仕事も頑張ります。


___________________________________________

15話読んで頂きありがとうございます!


喫茶店自体はお酒出すのが禁止なんでしたっけ?カフェと喫茶店の違いが少しだけ曖昧な私であります。


総合PVが6000を超えました。

沢山の方に見てもらえるのは嬉しい限りですね。これからもよろしくお願いいたします!



コメント、お待ちしておりますので、感想などなんでも構いません。

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