第42話 夏休み (10)
「いやぁ〜あっという間だったねー」
「確かに!!色々なことがあったのに今となってはあっという間のひと時だったって感じがします!」
旅行の思い出に浸りつつ、午後10時過ぎに僕たちは家に着いた。
帰り道の途中でファミレスに寄ったためこの時間というのもあるが、行きよりも荷物が多くなっていたこともこの時間になった原因でもあった。
別に夏休みなのだから何時でもいいのではないかとも思うのだが、生憎僕と柚花は明日、朝からバイトだった。
「明日もバイトだから早く寝ないとね」
「そうですね。荷物などは冷蔵や冷凍のもの以外は明日やりますか」
「そうしようか。じゃーまた明日ね、隣だけど家まで送って行くよ」
そう言って僕がリビングから出ようとすると、柚花が立ち止まっていることに気がつく。
どうしたのだろうと振り向き柚花の顔を見ると、何を言ってるの?とでも言いたそうな顔をしていた。
「何を言ってるの??」
全くそのままのセリフを言われてしまった。
「いや、それはこっちのセリフなんだけど。どうしたのよ」
「いやいや、なんで帰らないと行けないの?」
「はぁえ??」
「ハエ?」
「違う違う、思わず変な声が出ちゃったよ。え、柚花はうちに泊まっていくつもりなの?」
まさか、付き合って3日目の夜にはお家でお泊まりデートをするつもりなんですか?柚花さん。
「いや、当たり前じゃないの?」
柚花さんにとっては当たり前だそうです。
僕のまさかなんて通用しないみたいだ。
「当たり前ではないと思うよ??まぁ、僕も嫌だと思わないし、むしろ嬉しいからいいけどさ。お風呂はどうするの?」
「お風呂だけは家で入ってきます!ラッキースケベが起きた時に大変なので」
そこは気にするのね。
「はいよ。じゃーまたあとでね」
「はい!また後で!」
という事で、今日は付き合ってから3日目にして彼女とお泊まりデートをすることになりました。
………………また、寝れなくなるんだろうな。
そんなことを思いながら、少し急いで僕はお風呂に入るのであった。
お風呂を出てから15分ぐらいして、柚花がうちに帰ってきた。
「久しぶりの自宅風呂でしたが、悪くはないですね」
「確かにそうかも、あの旅館みたいな感じのお風呂はたまにだからいいのかもしれないね」
「うん!私もそう思うよ」
と、言ったタイミングで柚花があくびをしたため今日は布団に入ろうということになった。
あの旅行での初日のような失敗はできないためいつもよりかは少し早いが寝ることにしたのだ。
僕の寝室に到着、そのまま僕たちは僕のベッドに入る。
なんだかんだ言って柚花が僕の寝室に来ることは片手で数えるくらいしかない。
さらには、ベッドに入るというのは今回が初めてだ。
「凛くん、手!!」
握ってくれということだろうか。
優しく握ってあげると、「えへっ!ありがとう〜」と笑顔でお礼を言ってくれた。
正直昇天してしまいそうだ。
「柚花の手って小ちゃくてかわいいよね」
柚花の温かい手を触りながら僕は呟く。
なぜそんなことを言ったのかはわからないけど、無数に柚花の小さな手が可愛く思えたのだ。
「ふぇ〜〜手だけなの〜〜私自身は?」
お風呂に入った後だからか、僕に安心してくれているからか、段々と眠くなってきたのみたいで、呂律が徐々に幼稚化し始めている。
そんな柚花はいつもとはまた違った可愛さを醸し出していた。
「もちろん可愛いよ!僕には勿体ないぐらいだ」
「そんなこと……ないよ…………凛くんだから……選んだん……だよ」
なんとも嬉しいことを言いながら、柚花は目を閉じていく。
旅行の時も思ったが、どうやったらここまで寝顔を可愛いくできるのだろうか。
朝起きたら聞いてみよう。そう心に決めてから僕もそっと目を閉じるのであった。
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42話読んで頂きありがとうございます。
これにて夏休み編前半は終わりです。
後半もまたバイトから始まりますのでよろしくお願いいたします!
いつも見て頂きありがとうございます!よかったらコメント、応援して言ってください!
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